リーダーシップ開発のアプローチ
筆者らはこのプログラムを実施した経験や他のプログラムへの参加を通じて、リーダーシップ開発プログラムを設計する際の原則をまとめた。組織は、以下のような新しいアプローチを採用できる。
反復型:講義や教室でのセッションが丸1日、あるいは数日間詰め込まれ、次々に予定が組まれていると、参加者は圧倒されて、潜在的な価値を持つ多くのアイデアが失われる。新しいアイデアを教えてもらったら、センスメイキングと実験のプロセスを経て、学んだ内容が確実に身につくような、より反復型のアプローチが望ましい。
仕事に組み込む:エグゼクティブが数日から1週間のプログラムに参加した後、片手間でフォローアップを行うのではなく、フォローアップも含めたプログラム全体を仕事に組み込む。仕事を続けながら、自分のリーダーシップ開発の取り組みが、チームや業績にどのように関わっているのかについて簡単に知ることができれば、一連のプロセスに積極的に取り組むようになるだろう。
実験を重視する:組織の慣性とリスク回避の傾向が、多くの従来型の組織とそこで働く個人を悩ませている。この問題の克服は、実験がカギを握る。システムやリーダーの行動をいっきに変えようとするのではなく、管理しやすく、よりアクセスしやすいステップに分解して実践する。
サポートを得る:自己発見がリーダーシップジャーニーで重要な役割を果たすことは、筆者らの研究で明らかだ。これは自分一人でもできるが、適切な質問を投げかけてくれて、第三者としてフィードバックを提供する経験豊富なコーチがいれば、より効果的である。パンデミックを機にリモートワークが普及したおかげで、同僚やコーチと同じ部屋にいる必要はなくなった。
マルチモード:対面、ハイブリッド、もしくは完全なバーチャルなど、学習モードを個々のケースに合わせるべきことは言うまでもない。しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降、筆者らはビデオ会議のテクノロジーの利点と限界を以前よりはるかに深く理解し、物理的な人々の集合、大人数でのバーチャルセッション、1対1または少人数のコーチングセッションを、より合理的に組み合わせて構築できるようになった。また、新しいモデルはコストを大幅に削減できるため、学習と開発をより長期間行い、より大きな効果につなげられるだろう。
リーダーシップ開発は根本的な見直しの時期を迎え、ハイブリッドワークはそのきっかけになる。多くの企業がすでに新しいモデルを試しているが、さらに多くの実験を行う余地がある。この機会を無駄にしないようにしたい。
"What Leadership Development Should Look Like in the Hybrid Era," HBR.org, June 01, 2022.