●外部パートナーとともにDEIに対するコミットメントを公に発信してきたか、反発への備えはできているか

 組織のリーダーが、システミックな人種差別をはじめとする不平等が存在する現実について、公に説明責任を果たすようになると、構造的変化を見据えた指標や成果が見え始める。

 この2年間で、ナスダックやゴールドマン・サックス、コカ・コーラ・カンパニーといった企業のトップが、多様性と公平性に対する一般的なコミットメントだけでなく、自社およびビジネスパートナーの説明責任の果たし方についても公に発信している。

 ナスダックでは、米国の上場企業に対して「自認するジェンダー、人種、LGBTQ+であるとの自己認識」の観点から、取締役会の多様性について情報開示を求めることを発表した。

 これにより、ナスダックの上場企業は一定期間内に、取締役会の規模に応じて、5人未満の場合は少なくとも1人、それ以上の場合は最低2人、過小評価グループのメンバーを取締役に任命することが義務付けられる。また、ナスダックが掲げるダイバーシティ目標を遵守できない企業は、その理由を説明する義務を負う。

 同様に、ゴールドマン・サックスは2020年、ダイバーシティ・イニシアティブの一環として、取締役会に狙いを定めた。多様な属性の取締役が1人もいない場合、その企業の新規株式公開(IPO)を引き受けないとしたのだ。2021年には、これを2人以上に増やし、そのうち少なくとも1人は女性とするように求めている。

 一方、コカ・コーラ・カンパニーは独自に、公的側面の強いダイバーシティの取り組みを進めている。2020年9月、同社はブラッドリー・ゲイトンをゼネラルカウンセル(GC)として採用した。彼は2021年1月、同社が契約するすべての法律事務所に対して、明確な多様性と説明責任の測定指標を義務づける、新たなダイバーシティ・イニシアティブの概要を記した公開書簡を発表した。

 これは最終的に、法律事務所に対して、より多様な人材を採用・育成するように圧力をかけることになるという点で、重要な前例となった。

 たとえば、請求可能な時間の30%は、多様な属性を持つ弁護士が直接引き受ける必要があり、そのうち半分は黒人弁護士でなければならない。その結果、法律事務所は採用・定着・昇進に関する戦略の見直しを迫られ、多様な職場環境が単なる願望ではなく、必須条件となる。

 ゲイトンは、黒人弁護士を戦略的にターゲットとすることで、彼らが昇進・昇格の機会を増やすのに必要な専門能力開発、実質的な担当業務、ネットワーキングの機会を得られるように道筋を整えたのだ。

 当初、コカ・コーラの大胆なダイバーシティ目標は称賛を集めたが、すぐに「この新しいダイバーシティ目標は、差別的だ」と主張する反対派からの反発に直面した。2021年4月、ゲイトンが突然辞任した直後、この取り組みにも突如としてストップがかかった。

 同社の株主からは、取締役会の受託者責任に違反するとして、強烈な反発も起きていた。1964年に制定された公民権法第7編と第9編、そして「障害を持つアメリカ人法」(ADA)に対する違反行為として、訴訟を起こされるおそれがあるとの主張だ。

 このように外部からの圧力と内部からの反発を受けて、コカ・コーラでは最近、このダイバーシティ・イニシアティブは実施には至っていないと表明し、今後も進めることはないとした。

 コミットメントを公表することは、あらゆるステークホルダーにまたがる、明確に定義された説明責任の指標を確立するのに不可欠なメカニズムだ。実質的で構造的な変化には反発が付き物だが、コミットメントの公表には、あらゆる人々を当事者として変化に巻き込むという長期的成果に向けた強い信念が必要であり、誰とビジネスを行うか、あるいは行わないかについて、組織は再考を迫られることになるだろう。