学習者の集中力を維持する

 学習中にマルチタスクをしたり、気が散ったりする傾向は、そうしたことをしていても誰にも罰されないと感じていて、ほかの活動が簡単にできる場合(たとえばメールに返信するなど)、特に強まる。学習者の集中力を維持するには、次の2つの方法が有効だ。

 ●興味や関心を持てる学習コンテンツを用意する

 この点が重要なのはいまに始まったことではないが、その重要性はいっそう高まっている。ただし、必ずしも「楽しい」コンテンツや「わくわくする」コンテンツを用意する必要はない(もちろん、これらの条件も満たしているに越したことはないが)。

 基本的に、学習への興味や関心を高めるには、その知識が学習者にとって有益であることを明確にし、自明のことではなく、意外性のある内容を取り上げ、極めて円滑な形式、つまり「理解しやすい」形式で情報を提示する必要がある。

 いまの職務では使いそうもないことを学ばせたり、すでに知っていることを教えたり(「フィードバックが重要である」など)、細かい文字がぎっしり詰まったスライドを読み上げたりすれば、バーチャル学習者の集中力はたちまち失われるだろう。というより、対面式にせよ、バーチャル形式にせよ、そのような内容では集中力が失われて当然だ。

 そこで重要なのが、高い専門技能を持った人物がファシリテーター役を務めること、そして学習者が本当に求めているのは何であるかを把握することだ。

 筆者らはアーンスト・アンド・ヤング(EY)の組織全体で、オンデマンド形式のeラーニング素材(双方向型のコンテンツ、動画、録画されたウェビナーなど、学習者がいつでもアクセスできるもの)と、バーチャルなライブ形式の学習体験(ビデオ会議システムを活用して、専門スキルを持ったファシリテーターがコンテンツを伝達し、議論を主導する)を提供している。前者は、基本の知識を柔軟な方法で提供することに優れていて、後者は、フィードバックと練習の機会をつくり出すことに適している。

 ●学習者に緊張感を持たせ続ける

 あなたが高校時代に教わった科学の先生が、抜き打ちの小テストを好んだのには、理由がある。たとえば、授業中にランダムで学生を指名するなど、生徒に緊張感を持たせることにより、誰もがしっかりと準備してから授業に臨み、集中力を失わずに授業を受けるように促せることを、教師はよくわかっているのだ。

 この点は、大人の学習でも変わらない。EYでは、事前予告なしで意識調査を実施したり、学習者に意見を求めたり、双方向型のやり取りを導入したり、学習者がビデオ会議システムのカメラをオンにするよう促したりしている。人は何歳になっても、授業中に居眠りして怒られたくはないからだ。