retales botijero/Getty Images

集団はコンセンサスを好むため、チームや組織の中で異議を唱えることには、さまざまな困難が伴う。だからといって、何か重要なことが見落とされていたり、間違った方向に進んでいたりする時には、声を上げなければならない。相手の抵抗や拒絶に遭うことなく、自分の意見に耳を傾けさせ、相手を説得するにはどうすればよいか。長年にわたる科学的研究の知見からは、自分に権力や地位がなくても、聴衆の支持を得るられることがわかっている。本稿では、そのための7つの方法を紹介しよう。

集団思考に異を唱え、別の視点や可能性を示す

 反対意見を唱えるのは難しい。広く受け入れられている考え方に対して疑問を投げかけることには、喜びよりもはるかに苦痛が伴うものだ。相手側から軽くあしらわれるうえに、その先の付き合いも拒まれる可能性が高い。

 それは、集団がコンセンサスを好むことによる。集団は、既存の考え方を正しいと受け止め、予測可能な環境を維持し、目標に向かって迅速に行動することを望むからだ。

 それでも、チームや組織が何か重要なことを見逃していたり、間違った方向に進んでいたり、あまりにも多くのリスクを取っていると感じたりした時には、声を上げなければならない。仮に、そのメッセージが短期的には受け入れられなかったとしても、たいていの場合、多様な意見に基づいて下された決定のほうが、長期的にはよい結果をもたらすものだ。

 たとえば、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアが1963年に行った演説「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」(私には夢がある)について考えてみたい。

 演説から3年後、その内容を支持した米国人はわずか33%だった。ところが、黒人の公民権に関する当時の通念を批判したその演説は、やがて法律や人々の考え方に大きな変化をもたらした。2011年時点で、この演説に対する国民の支持は、94%にまで跳ね上がっている。

 反対意見を唱えることは、有効な方法であれば、集団思考に一石を投じ、別の視点や可能性があることを多数派に気づかせ、誰もがさらに自由に解決策を考えるように促すことができる。

 では、マーティン・ルーサー・キングのように、社会の中で爪弾きにされることの多い「信念の反逆者」は、どのようにして人々に耳を傾けさせ、自分の考えを広めているのか。権威者の誤った考え方に異を唱える最善の方法とは、どのようなものか。仕事において、同僚の抵抗や保身に対処し、彼らを味方につけるには、どうすればよいだろうか。

 本稿では、60年以上にわたる科学的研究の知見から、権力や地位のない人が聴衆の支持を得る方法を紹介しよう。