●客観的な情報に頼る
主観的な意見と根拠のあるエビデンスとを区別する。聴衆の質問を予測し、あらかじめ答えを用意しておくことで、聴衆の信頼を得ることができる。新たに質の高い情報を得られたことで、自身の見解がどのように更新されてきたかを示そう。
●障害やリスクに言及する
ポジティブなことや聴衆が何か得することだけを話すべきだと思うかもしれない。だが、自分の考えを実現することの難しさや、それを追求する中で生じうる危険性について、率直に説明することが重要だ。透明性は説得力を高める。
●コラボレーションを促す
聴衆との距離を縮める。「私」ではなく「私たち」という言葉を使おう。チームメートの見解を掘り下げ、相手の意見を受け入れて、自分の考えを磨くための支援を明確に求めることだ。彼らのバックグラウンドを理解していることを示し、その知識や強み、スキルを活かしてほしいと頼む。相手がすすんで批判的意見を述べたり、改善点を提示してくれる機会を用意しよう。
また、相手が中傷や非難をする可能性がある場合には、彼らの懸念を解消するために、公の場ではなく、個別に会って話をすることが有効だ。これまで、どれだけ助けられたかを伝え、問題解決の貢献者として信頼していることを示すのだ。
すべての会話にオープンマインドで臨む。いま手元にあるものは制作途上であり、次の改良版を設計するための指針を、聴衆が与えてくれるだろう。
●サポートを得る
反対意見を唱えるような難事も、友人が背中を押してくれれば、少しは気が楽になるものだ。
過去数十年にわたる科学的研究から、人は健全な人間関係が存在すると考えるだけで「もっとできる」と信じ、勇気を持って行動できることが明らかになっている。電話一本で駆けつけてくれる仲間がいると思うと、人はその仲間の能力を自分の能力の一部と見なし、より自信とレジリエンスをもって行動できるようになるのだ。
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結果は保証できないが、本稿で紹介した7つのルールによって、聴衆を納得させ、反対意見を成果につなげる確率は高まる。いま世界が必要としているのは、常識的な考え方をする人ではなく、組織や社会をよりよい場所にするために、勇敢にも意見を異にし、逸脱し、逆らう人なのだ。