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リーダーの世代交代が進み、リーダーシップは劇的な変化を遂げようとしている。有能なマネジャーではなく、優れたコーチとしてのリーダーが求められているのだ。スティーブ・ジョブズをはじめとするシリコンバレーの起業家たちをコーチしたビル・キャンベルがその典型である。本稿では、リーダーシップをコーチングととらえるとは、どのようなことなのかを解説しながら、コーチング型リーダーに必要な5つの接し方を紹介する。

コーチング型リーダーになるための5つの接し方

 ベビーブーマー世代が握っていた権力がX世代やミレニアル世代、Z世代の新たなリーダーたちへと移行し、リーダーシップは劇的な変化を遂げようとしている。世代交代に伴い、有能なマネジャーから優れたコーチとしてのリーダーへと、リーダーシップのスタイルに変化が生じているのだ。

 近年では多くのリーダーが外部のコーチを雇っているが、中にはその先に踏み込んで、エグゼクティブの職務は基本的にコーチングだととらえている人もいる。

 偉大なコーチの一例がビル・キャンベルである。コロンビア大学のアメフトチームのコーチとしてキャリアをスタートさせ、のちに「シリコンバレーのコーチ 」と称されるようになった人物だ。

 彼はシリコンバレーを築き上げた多くの起業家にとって腹心の友となり、彼らのエグゼクティブコーチを務めてきた。グーグルの共同創業者ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、アルファベットCEOのサンダー・ピチャイ、アップルのスティーブ・ジョブズ、フェイスブック(メタ)のシェリル・サンドバーグ、アマゾン・ドットコムのジェフ・ベゾス、ツイッターのジャック・ドーシー……。キャンベルは「指揮・命令型」のリーダーシップの概念を否定し、「人は肩書によってマネジャーになり、部下によってリーダーになる」と語っていた。

 偉大なアスリートが偉大なコーチを求めるように、有能な人材は、自分の潜在能力を最大限に発揮できるよう導き、よりよいリーダーになれるようコーチしてくれるリーダーの下で働きたいと願うものだ。

 リーダーシップをコーチングととらえるとは、具体的にどのようなことを意味するのだろうか。この問いへの答えとして、筆者らは今日のリーダーに求められる部下への接し方をリストアップした。コーチング型リーダーに必要な接し方の頭文字を取って「COACH」と名付けたその内容は、「チームメートのケア」(Care)、「適材適所の編成」(Organize)、「組織とのパーパスや価値観の合致」(Align)、「潜在能力を最大限に引き出す挑戦」(Challenge)、そして「目標達成の支援」(Help)である。

 本稿では、優れたコーチング型リーダーに求められるこれら5つの側面について検証しよう。