パテント・トロールの問題は大企業が生み出したもので、それを取り締まることは「弱い立場にあるもの」を苦しめるとの批判もある。しかし、そのような主張はデータに裏打ちされたものではない。

 パテント・トロールに関する研究で、分析結果から示されているのは、パテント・トロールから訴訟を起こされた企業の60%近くが、中小企業であること。中小企業の場合、パテント・トロールの訴訟費用が、その収益規模に比して高額になること。そして、中小企業は、特許侵害の主張が示談になった場合でも、その収益規模に比して多額の支払いをパテント・トロールにしていることだ。

 米政府は特許制度の破綻した部分を是正し、イノベーターや起業家が、困難を乗り切るためだけでなく、成功するために必要な手段を早急に確保しなくてはならない。

 長期的には、USPTOは大量の特許出願を処理するためのリソースを確保し、特許の質を重視して、アイデアが新規かつ有用で、非自明性がある場合にのみ特許を付与する体制を整える必要がある。

 現在、特許審査官が費やしている審査時間は、平均すると1件当たり19時間にすぎない。また、特許システムの透明性を高め、特許の「真の所有者」を明確にして、パテント・トロールが身元を偽ることを防がなければならない。

 USPTOのカティ・ビダル長官には、特許制度の機能を大幅に改善し、米国のイノベーションを促進するためのアクションを直ちに起こす機会がある。

 ビダルが最初に取るべき措置は、前任者によって不当に適用された「NHK-Fintivルール」を完全に撤廃することだ。このルールは、パテント・トロールに狙われたイノベーターが、自分自身に対して主張されている特許が有効かどうかを、USPTOの専門家に判断してもらうことを困難にする。専門家による判定は、パテント・トロールの標的となる企業やイノベーターに、訴訟よりも安価で確実な代替手段を提供するために存在するものだ。その活用を制限することは、進歩に逆行するものだ。

 連邦議会は2011年、特許制度に大幅な見直しが必要であることを認識し、上下両院の超党派によって「リーヒ・スミス米国発明法」(AIA)が可決された。このAIAにより、先発明主義から先願主義に移行し、USPTOの特許審判部(PTAB)での審査プロセスが設けられたことで、有効性に疑問のある特許について専門家が審査できるようになった。