罪悪感に挑む

 罪悪感には2種類ある。感じるのが正当な罪悪感と、そうではない罪悪感だ。道徳的な規範に背いた時、不快ではあるが正当な罪の意識が我々の責任感を呼び起こし、償うように促す。罪悪感が事前に忠告してくれるおかげで、我々は軽率な行動を取るのを未然に防ぎ、社会性のある行動を取ることができる。

 しかし、ある状況に関して不当に責任感を持ったり、自分がもたらすかもしれない苦痛を過大に見積もったりした場合、罪悪感は非合理かつ不健康なものになる。いつまでも消えない不当な罪悪感は自尊心を低下させ、不安感や抑鬱状態、身体的症状を増大させる。

 抱いている罪悪感が正当か否かを見分けるには、「この仕事をなぜ他人に任せられずにいるのか」と自問し、頭に浮かんできた答えをすべて書き出すとよい。たとえばミゲルは、チームメンバーには職場に来ることを楽しみにしてほしいと思っていたため、仕事をチームに任せずに自分の仕事を増やしていた(「自分ですればよい」と考えたのである)。

 自分の考え方を疑ってみよう。「私が間違っているとしたらどうだろう。ほかに正解がある可能性はないか」と自問してみるのだ。ミゲルの場合、自分でその仕事をこなせるのは事実だが、そうすることがチームにとっても、会社にとっても、正しい解決法ではないことに気づいた。誰にも害を及ぼしておらず、自分のモラルにも反していない場合、あなたが抱いている罪悪感はおそらく正当ではないだろう。

 あなたが罪悪感を抱きやすい性格の場合は、自分の考え方が正しいかどうかを検証することが特に重要である。他人が苦労をしたり不満を覚えたりするおそれや兆しが少しでも見えると、あなたは取るべきでない責任まで取りたくなるからだ。

 他人に任せることが理にかなわない場合も、当然ある。しかし、罪悪感のせいで、分担すべき責任を自分で背負い続けるという解決法を常に取るなら、あなたは自分やチームの成長を阻むことになる。