立場を変えて考える
部下に仕事を任せることに罪悪感を覚える人は、チームに負担をかけているのではないかと不安を感じている。他人の幸せに対して責任を感じたり、他人のニーズは自分自身のニーズよりも重要だと思ったりしている場合もある。
代わりに、他人に任せることのメリットを認識して、発想を変えよう。たとえば、チームに負担をかけているのではなく、成長の機会を与えているのだと考える。仕事を任せないことでチームを幸福にしていると思わずに、メンバーにとってリーダーから信頼されていると感じることは喜びだと考えるのだ。より大きな貢献や意義深い仕事ができるようになると、エンゲージメントやコミットメント、仕事に対する満足度が高まる。
トップが仕事を抱え込むことは、会社にとって何の得にもならない。何もかも自分で抱え込めば、あなたにしかできない仕事をおろそかにし、チャンスを逃すことになる。仕事を他人に任せることで、その仕事は最もふさわしいレベルのメンバーに移され、重要性の最も低い仕事を減らすことにもなる。状況が目まぐるしく変化する今日、リーダーは頻繁に見直しを行い、重要ではなくなった仕事を整理する必要がある。
他人に任せるスキルを向上させる
仕事を効果的に任せていないと自覚していて、それが罪悪感や嫌悪感を助長する原因になっているなら、行動を起こそう。「健康的な罪悪感」の目的は、ポジティブな変化を促し、償うことだからだ。
そのために必要なものは、目的と時間の再配分だ。自分で仕事をする代わりに、あなたは指示や支援に回る。まず自分がどんな仕事を抱えているかを検討して、他人に任せられることや完全に排除できることは何かを決める。次に、それを誰に任せるべきかを考える。「このスキルを磨く必要があり、磨くことを望んでいて、新しい仕事に挑戦する準備ができているのは誰か」と考えるのである。
このプロセスにチームを巻き込むことも有益だ。たとえばケンドラは、自分が担当する領域全体を、直属の部下とともに定期的に検討することにした。そして「どこで私も参加すべきか」「私がもっと関与する必要があるのはどこか」と質問することで、チームメンバーがエンパワーメントと支援の両方を受けていると実感できるようにした。
仕事を効果的に任せられれば、当初から想定されていたメリットを上回る成果を得られる。フィードバックのためのチェックポイントを定期的に設定して、仕事の進行中にコーチングを行い、チームメンバーの貢献や業績を認識する。あなたが他人に任せるスキルを向上させれば、チームメンバーはエンパワーメントや支援を受けたと実感し、意欲が向上する。