議論を促す
資料をつくる5つの秘訣
プレワークのために資料を用意することのメリットを理解していても、実際に行うのは難しいかもしれない。そこで、実践するための秘訣をいくつか紹介しよう。
(1)資料の形式を細かく指定する
ビジネスの世界では、多くの人が長い文章を書くことよりもパワーポイント資料の作成に慣れている。そのため、プレワークに向けた資料のつくり方を教えるのは、恩着せがましいように思えるかもしれないが、これを知っていると非常に役に立つ。
アマゾンでは、フォントサイズから余白まで指定した手引き書をまとめている。多くの組織にとっては、このレベルの細かさは行きすぎだと感じるかもしれないが、ベストプラクティスが明らかになった時には、それを体系化することに意味がある。
(2)インタラクティブな要素を盛り込む
資料を黙読した後に議論を促す方法の一つが、共有ドキュメントに考えや質問、意見を入力するよう全員に呼びかけることだ。グーグルドキュメント、ワードクラウド、メンチメーターの投票機能などのツールが役に立つ。
(3)資料を作成する理由を説明する
人は必要のない命令に従うことを好まない。資料を作成する目的は、仕事を増やしたり、会議を長引かせたりすることではないことを、チームメンバーに理解してもらうことが重要だ。むしろそれによって、会議の数を減らしながら、より多くのことが達成されるはずだ。
(4)ペアを組む
会議の参加者が2人1組になってプレワークの資料に関わることで、文書により集中できるかもしれない。最初に各ペアが対話をすることで、グループの効果的なブレインストーミングにつながる。
(5)プリントアウトする
ペンで書き込むことのできる紙の文書が配布されると、より迅速かつ効果的に資料の内容を理解できる人もいる。対面の会議では、紙の文書のほうが資料を理解しやすい人のために、事前にプレワークの資料を数部印刷することも検討しよう。
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プレワークの文化を構築し、取り入れる背景を伝えることで、リーダーが従業員の時間はもちろん、彼ら自身を大切にしていると示すことができる。そして、従業員が集まった時には、その貴重な時間がより価値のあるものになるのだ。
"How to Effectively Build Pre-Work into Meetings," HBR.org, October 06, 2022.