データプロダクトマネジャーを導入する
ほかの種類のプロダクトマネジャーと同じく、データプロダクトマネジャーも、モデルの構築やそのためのデータエンジニアリングに必要な技術や分析の専門知識を、すべて有しているわけではない。また、ビジネスプロセスの再設計や、従業員の再教育に秀でている可能性も低い。
彼らに実際に必要なのは、部門を横断してプロダクトの開発と実装のプロセスを管理する能力、そして求められるタスクを遂行するための多様なスキルを持つ人々で編成されるチームとそれを管理する能力である。
さらに、モデルと関連のプログラミングによって、オペレーションに変更が生じることになるビジネス部門のリーダーを相手に、効果的にコミュニケーションができなくてはならない。
この役割のあり方を示す模範はすでに存在する。データプロダクトに必要なスキルの一部は、ソフトウェア製品の管理において見られる。部門・部署を横断しての調整、多様なスキルを持つチームの管理、正式な権限がなくても影響力を行使する能力、顧客ニーズへの理解などだ。データプロダクトもソフトウェアを伴うため、ソフトウェア製品とデータプロダクトのどちらのマネジャーも、ソフトウェア開発を理解している必要がある。
一方、データプロダクトマネジャーに特有のスキルもある。当然ながら、データについて知悉していなくてはならない。データを獲得する方法、データをデータベースから抽出する方法、データの質を向上させる方法、データをほかのデータと統合する方法、などだ。
加えて、アナリティクスとAIに関する理解も必要だが、データサイエンティストほどでなくてもよい。基礎統計学に精通し、AIの主要なタイプと、それらのデータ要件とモデリング要件を把握し、機械学習の仕組みを理解している必要がある。モデルは時とともに「ドリフト」(予測性能が劣化)しうることに留意し、AIベンダー業界の状況にも詳しくなくてはならない。