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データプロダクトマネジャーの役割
企業によるAIやアナリティクスのアプリケーション構築の取り組みには、あるお馴染みの問題が付きまとう。データサイエンティストを雇ってモデルを構築しても、それが本番環境に実装されることはめったにないという問題だ。
データサイエンティストらを対象にした最近の調査では、みずからが構築したモデルのうち、本番環境に実装されたのは20%以下と答えた人が大半であった。
これを受け、多くの企業はデータプロダクトという概念を取り入れるようになった。すなわち、特定のビジネス課題の解決に向け、異なる使用者による異なる方法での経時的な分析ができ、再利用することが可能なデータセットをつくる取り組みだ。
そこにAIとアナリティクスを取り入れる企業もあれば、そうでない企業もあるため、一部の組織は2つの用語を用いる。データプロダクト(再利用に適したデータセット)と、アナリティクスプロダクト(データ分析のためにアナリティクスやAIの手法を取り入れたもの)だ。
筆者らのデータプロダクトの定義は、データとアナリティクス・AIの両方を含むが、組織が自社での用語を明確に理解していればそれでよい。データとアナリティクス・AIの両方において有益なのは、プロダクト志向である。
データプロダクトは特に大企業やレガシー企業で強力なツールとなりうる。
マーケティングとデザインのサービスを提供する企業、ビスタで最高データ責任者(CDO)を務めるセバスチャン・クラップドアによれば、同社ではデータプロダクトが9000万ドルの増分利益をもたらし、その大部分は毎年繰り返し生じている。
また、アラバマ州を本拠とするリージョンズバンクで最高データ・アナリティクス責任者を務めるマナブ・ミスラによれば、データプロダクトは同行に何億ドルもの収入や節約をもたらしている。
これは必ずしも新しいことではない。アナリティクスを伴うデータプロダクトは、デジタルネイティブ企業では少なくとも10年前から使われていた。しかし、レガシー企業が導入を始める中、その多くは社内においても顧客に対しても、アイデアの実装に苦労している。
苦労する理由の一つに、彼らはたいてい有形のプロダクトを販売しているため、データプロダクトを苦手としている可能性がある。
そして、多くの大企業はCDOを設置しているが、製品管理という専門分野はCDOの本来の役割に含まれていない場合が多い。レガシー企業のデータサイエンティストは、当然ながら分析モデルやAIモデルの構築方法を理解している。だが彼らの多くは、データにうまく適合するモデルを構築した時点で自分の仕事は終わりだと考える。
レガシー企業がデータプロダクトの構築と提供をうまく実現するために必要なのは、CDOともデータサイエンティストとも異なるスキルセットを持つ新たな役割、すなわちデータプロダクトマネジャーを設けることである。