不採用の経験から何を学ぶべきか
不採用を告げられれば、誰だってつらい。不採用の理由が分からなければ、自分のスキルや能力に関して、自己不信に陥っても不思議ではない。以下では、不採用の経験から学び、前に進むための方法をいくつか紹介する。
完璧に見える職が常に完璧とは限らないことを理解する
求人募集をしている会社を、理想化して見ている人も多いだろう。どこかで読んだことや聞いたことに基づいて、ある会社に憧れることは、別におかしなことではない。それに、採用面接担当者の仕事の一つは、求職者に対して自社へ好印象を抱かせ、面接という最初の接点で、自社が魅力的な職場だという印象を求職者に持たせることである。
どのような理由であっても、不採用を告げられた場合は、企業を理想化する考えをリセットしよう。この機会に、触れ込みほど完璧な職場など、どこにもないのだと、再確認したほうがよい。
次の就職活動では、企業に対してさらに現実的な見方をすべきだ。そのために、あらかじめ時間をつくり「御社の組織文化について教えてください」という質問よりも突っ込んだ問いを検討しよう。
たとえば、次の採用面接ではこのように尋ねよう。「御社ではどのように従業員を育成しているのか、例を挙げて教えていただけますか」「あなたのチームで輝かしい成果を挙げている人たちに共通点はありますか」。このような問いを投げかけることにより、その会社があなたの成長をどのくらい真剣に考えているのか、その会社が従業員をどのような方法で評価しているかが見えてくる。
自分の価値観を見直す
人は、職探しに躍起になっている時、特にどのような職でもよいから働き口を見つけたいと焦っている時、自分にとって何が重要か、そして仕事が自分の人生の充実感全般に資するかどうかに意識が向きにくくなる。
不採用になった時は、少し頭を冷やし、その職が本当に自分の価値観に沿っていたか考えてみよう。このような作業を行うことにより、将来どこかの会社に採用が決まった時には、充実感を味わえる職に就くことができるだろう。
面接のスキルを磨く
面接を受ければ、それを通じて自分の面接スキルを磨き、次の機会に向けて、自分のメッセージを伝える力を強化することができる。
筆者自身、エンターテインメント業界専門の弁護士から、人事プロフェッショナルへとキャリアチェンジを遂げようとしていた時、なぜそのような転身を目指すのかと尋ねられたものだ。そのような時、筆者はこう答えた。「人々の力になりたいのです」
私がそう述べると、ある企業の採用担当者はこう指摘した。「あなたが言っていることは人事部門の役割ではありません。人事部門の仕事は、人々のスキルおよび能力と会社の目標をすり合わせることです」と。
それは、筆者もわかっていた。けれども、採用面接でその点に言及したことはそれまでなかった。そこで、その次の面接では、自分の核を成すメッセージを変更した。すると、その会社で採用された。
あなたも、不採用だった面接で尋ねられた質問を振り返り、あなたの返答に採用担当者がどのような反応を示したか考えよう。どの回答が好印象を与え、どの回答が好印象を与えられなかったのか。あなたが述べたことを、相手がさらに簡潔な言葉で言い換えたことはなかったか。自分のメッセージをさらに簡潔にしたり、メッセージを全面的に変更したりすることはできないか。
フィードバックの内容を取り入れる
面接担当者からフィードバックを得られた場合は、それ以降の面接でその指摘を参考に行動を変えればよい。フィードバックは、面接という短い時間であなたがどのような印象を与えたかを第三者の視点で教えてくれる。
指摘に同意できなかったり、その内容がピンとこなかったりする時もあるだろう。そのような時は、「2%ルール」を実践してみよう。相手の言っていることの2%でも正しかったと仮定して考えるのだ。フィードバックを生かして、自分のスキルを磨いたり、面接に臨む姿勢を変えたりしよう。
レジリエンスを育む
不採用になる経験を重ねるにつれて、落胆から立ち直る術が身に付き、レジリエンスが高まる。不採用を告げられた時は、どのようなセルフケアが必要かを考えてみよう。
ボウリングでも、絵画やエクササイズでも、何でもよい。自分が得意にしていて、楽しく思えることをやってみよう。その時、自分がどのように感じ、どうすれば前に進めるかを知れば、将来、どのような失敗を経験しても、それに対処するための方法論として活用できるだろう。
採用担当者は、面接で求職者が発するネガティブなエネルギーを敏感に察知する。不採用の経験を自分の学習の一部と位置付けて、不採用に対する見方を変えることにより、自分に適した職を見つけるという目標に一歩近づくことができるだろう。前に進むために、何が必要かを早く学べば学ぶほど、次の面接を自分にとっての新しい課題と見なし、その課題に挑もうという気持ちになりやすくなる。
"Job Rejection Doesn't Have to Sting," HBR.org, October 24, 2022.