多様性のあるサプライヤーの持ち分に関する条件を
最初の段階では、厳格に追求しない
多くの企業は従来、アライアンスを組む条件として、多様性を備えたサプライヤーの出資比率が最初の時点で51%以上であることを厳格に求めてきた。
だが、もっと柔軟にならなくてはいけない。時間の経過とともに、多様性を備えたサプライヤーの役割が拡大し、進化する可能性があることを踏まえれば、調達側の企業は、最初の段階では多様性を備えたサプライヤーの出資比率が51%未満になるアライアンスにも、積極的に取り組むべきだ。
アライアンスを長期的な関係にする
成長重視のアプローチは、現行の調達契約だけに焦点を絞るべきではない。さらに拡大が見込まれる将来の取引も想定すべきである。
そのためには、双方の当事者が、直近のプロジェクトを超えた機会
たとえば、米ミシガン州の自動車産業の業務を引き受けている多様性を備えたゼネコンは、別のゼネコンとのアライアンスで、当初の出資比率が51%だった。この多様性を備えたサプライヤーは、アライアンスを通じて大学や電力会社、石油精製会社にも事業を拡大し、収益を大幅に増やした。
アライアンスの構築から20年後、その多様性を備えたサプライヤーは、提携相手の持ち分を買い取った。このような場合、調達側である企業のサプライヤー多様性プログラムは、アライアンスを経て、多様性を備えたサプライヤーが十分に成長したからといって、関係が終わらないようにすべきだ。
サプライヤー多様性プログラムの目的は、より公平な経済を構築することにある。多様性のある企業と既存の確立されたサプライヤーとの間をつなぎ、スポンサーとして成長重視のアライアンスを構築して、アライアンスの成功のために積極的に役割を果たせば、大手企業は目標達成に向けた歩みを加速させることができるのだ。
謝辞:ボストン コンサルティング グループ(BCG)のマネジング・ディレクター兼パートナーのトム・ラップ、BCGのマネジングディレクター兼シニア・パートナーのジャスティン・ディーン、BCGのパートナーのフランク・パーマー、グーグルでサプライヤー多様性プログラム&トランスフォーメーションを率いるアビオラ・イザーペ、グーグルでサプライヤー多様性プログラムのマネージャーを務めるシャーリー・カオ、グーグルのサプライヤー多様性パートナーシッププログラムを率いるミシェル・ゲリス、グーグルの地域ディレクターとしてデータセンターの構築・運用を担当するスティーブ・フォードの協力に感謝する。
"How Google Approaches Supplier Diversity," HBR.org, October 28, 2022.