5. 会議を引き算するだけでなく、工夫する

 ミーティング・リセットの結果、会議を完全になくす以外の方法によって、多くの時間が削減できたのは予想外だった。会議を完全にキャンセルしたことによって削減できた時間は、全体のわずか30%であり、残りの70%は残した会議の運営方法を工夫したことによるものだった。たとえば、出席者を減らしたり、部分的に非同期のコミュニケーションに置き換えたりして、会議の構成を変えたことによる削減が27%に上った。

 価値が低いと判断された会議を行っていたリーダーの一人は、出席者全員が最初に近況を報告するという時間のかかる習慣を廃止し、代わりに各自がアサナとスラックのソフトに近況を書き込むようにした。また、会議の頻度を減らし、会議時間を短くすることによっても、大幅な時間削減(それぞれ17%と10%)が実現した。

最も重要なもののために時間を確保する

 ドゥームズデイから半年後、フランチェスカに再び話を聞いた。予定表は変わらずすっきりしたままだ。

「ドゥームズデイで学んだことを、理念として守っています。しっかりと根付いていますよ。会議を以前より頻繁に見直し、会議の頻度や曜日を決めて行うようになりました」

 会議改善プレイブックを使って、引き算志向を採り入れる時、すべての会議を短く早く済ませたり、簡単に運営したり、フラストレーションのないものにしたりしないほうがよいだろう。仕事についてじっくり考えたり、自分自身や他の人をケアしたりするなど、日常の中でゆっくりする時間をつくることを目標にしよう。フランチェスカは、こう話してくれた。

「1日の中で一息つける時間が増えたので、仕事によって活力のレベルを調整したり、休憩したりできるようになりました。人と深い話ができるだけの活力がある時に人と会えばいいですし、生産性が落ちたと思ったら、会議のない時間を十分に確保していますから、ストレッチをしたり、PCから離れたりすることもできます」

 フランチェスカや同僚は、予定を整理することによって、染み付いた習慣を捨て、難しい問題について考える時間を持ち、予定に残した会議では最高の自分を発揮できるようになった。多すぎる会議、特に意味のない会議に出席することで生じる精神的疲労から、自分を守ることができたのだ。


"Meeting Overload Is a Fixable Problem," HBR.org, October 28, 2022.