自由で公正な選挙の実施をサポートする
企業リーダーは、従業員やユーザー向けのイニシアティブだけでなく、選挙管理機関の支援を通じて投票率の向上を図ることもできる。
投票箱や事務用品、飲料やスナック、手指消毒薬やマスクなどを提供する企業もあれば、物的資源が不足している選挙管理機関に直接資金を提供する企業もある。パタゴニアなどの企業は、人的資源を提供している。投票所でボランティア活動をする従業員に、追加の有給休暇を与えているのだ。
こうしたアクションは、少なくとも2つの異なる方法で、該当地域に住む有権者に恩恵をもたらす。まず、スタッフが増えると投票所での待ち時間が短くなる。そして、従来は行政サービスが行き届いていなかった地域に、新たな投票所を開設できる可能性がある。投票待ちの行列と投票所までの距離が短くなると、投票率が大幅に上昇するという確かな証拠も示されている。
投票以外の政治参加を促す
市民の政治参加は、選挙日に投票することだけに留まらない。単に投票を促すだけでなく、さらに踏み込んで、別の形で政治参加を促す企業もある。
たとえば、これまで候補者に少額の献金をするには、ひどく面倒な手続きが必要だった。だが、アクトブルーやウィンレッドなどのオンラインプラットフォームが登場したことにより、いまではとても簡単に少額の献金ができる。
ジョージタウン大学とパリ政治学院の最新の共同研究によると、オンラインプラットフォームが登場したことにより、献金者の層が大幅に広がり、多様化したことがわかっている。2020年の大統領選だけでも、200ドル未満の小口献金をした人の数は、それぞれの候補で1200万人を超えた。こうした小口献金を行った人の52%が女性だった。これに対して、大口献金者に女性が占める割合は38%だった。同様に、小口献金者に占めるマイノリティの割合は、大口献金者に占める割合の2倍に上った。
選挙への出馬という形で選挙参加を促す企業もある。スナップチャット(現スナップ)は、これまでユーザーの有権者登録をサポートしてきたが、それだけに留まらなかった。2021年、スナップは若者を中心としたユーザーに出馬の機会を探るよう促すイニシアティブ「ラン・フォー・オフィス」を立ち上げた。
このポータルでは、自分の関心のある争点に基づき、教育委員会から各州の下院議員まで選挙で選ばれる地方行政のポジションを検索できる。また、出馬の届出期限や主な要件など実務的な情報を提供するとともに、政党を問わず、候補者を募集している組織やトレーニングも紹介している。