バイタルに学ぶ5つの重要な教訓

 バイタルの経験は、O2Oプラットフォームをスケールさせるうえで、5つの重要な教訓を与えてくれる。

1. スタートはシンプルに

 オンラインとオフラインの両面を持つプラットフォームは、通常、サプライヤーよりも消費者が先に集まりやすい。バイタルが経験したように、シンプルな機能は消費者が登録に至るまでのハードルを下げる。消費者が増加すれば、パートナー企業の参加を促すプレッシャーになる。

2. 信頼できるオフラインプロダクトを最初から確保する

 オフラインプロダクトの構築には、多額の資金が必要になるため、適切に行うことが重要だ。バイタルが最初に定めた容器に関する重要な条件は、最大200回の使用(食品提供と返却)に耐えることだった。また、電子レンジや食器洗い機に入れても機能が失われないQRコードを容器にプリントした。デジタルに関しては高い機能を得られるが、堅牢性が劣るRFIDチップは使わないことにした。これが、同社のアイデアを実現する助けになった。

3. ビッグデータを迅速に入手する

 バイタルは、人口密度の高い3つのオフライン市場(ケルン、ミュンヘン、ベルリン)でサービスを開始することで、大量のユーザーデータを迅速に獲得して、ユーザー行動を分析し、オンラインとオフラインのプロダクトを調整して、消費者とパートナーレストランのニーズによりうまく応えた。新しいタイプの容器を追加したり、アプリのチェックアウト画面のデザインを見直したりして、ユーザビリティとユーザー満足度が向上した結果、消費者のロイヤルティが高まった。

4. 仲介役にならない

 プラットフォームは、必ずしもサプライチェーンの仲介役になる必要はない。バイタルの場合、ほとんどのプロセスが消費者とレストランの直接的なやり取りで行われるため、3500件のレストランを管理するのに必要なフルタイムで働くスタッフは8人未満で済んだ。

5. チャンスを逃さない

 バイタルは、コロナ禍の初期に生産能力を積極的に拡大したことで、レストランがテイクアウトやデリバリーモデルに移行した際に、恩恵を受けることができた。2020年、同社の食品容器の使用量は、毎週12%のペースで増えていった。

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 この20年間、アルファベットやマイクロソフト、アマゾン・ドットコムなどの巨大なサードパーティプラットフォームが、さまざまなジャンルの商品の販路および配達のプラットフォームとして台頭してきた。しかしバイタルのような企業が、デジタル技術によって特定の商品カテゴリーに付加価値をもたらす可能性を示すことで、サプライチェーンのニーズに合ったプラットフォームを構築する必要性がますます高まるだろう。バイタルのアプローチは、新たなプラットフォームが成功する方法を示唆してくれている。


"How One Company Used Data to Create Sustainable Take-out Food Packaging," HBR.org, November 11, 2022.