ジェネレーティブAIは創造的な仕事を奪うのか
Andriy Onufriyenko/Getty Images
サマリー:創造的でオリジナルのアウトプットを生成できる「ジェネレーティブAI」の活用が進んでいる。本稿は、ジェネレーティブAIのビジネス用途について、事例を挙げながら、その可能性を示す。ジェネレーティブAIが生成する... もっと見るコンテンツは、所有権と知的財産の保護に影響を及ぼすことが間違いないとする一方、知識労働とクリエイティブな仕事に革命をもたらす可能性も高い。 閉じる

AIがコンテンツ制作を一変する

 創造的でオリジナルのアウトプットを生成できる「ジェネレーティブAI」や、基盤モデルとも呼ばれる、大規模な言語・画像AIモデルは、コンテンツの制作を行う企業とプロフェッショナルに新たな機会をもたらしている。それらの機会の一部には以下が含まれる。

1. 自動コンテンツ生成:大規模な言語・画像AIモデルを用いて、記事やブログ投稿、ソーシャルメディア投稿などのコンテンツを自動的に生成することができる。定期的にコンテンツ制作を行う企業とプロフェッショナルにとって、これは時間節約のための有益なツールとなりうる。

2. コンテンツの質の向上:AIモデルは大量のデータから学習でき、人間には見えないパターンを認識できるため、AI生成コンテンツは人間によってつくられたコンテンツよりも質が高い場合がある。このため、より正確で有益なコンテンツができる可能性がある。

3. コンテンツの多様性の向上:AIモデルは、文章や画像、動画を含む、さまざまなタイプのコンテンツを生成できる。これは企業とプロフェッショナルにとって、より広範な人々に訴求する、より多様で興味深いコンテンツを制作するうえで役立つ可能性がある。

4. コンテンツのパーソナライズ:AIモデルは、ユーザー個々人の好みに基づいてパーソナライズしたコンテンツを生成できる。これは企業とプロフェッショナルにとって、ターゲットとするオーディエンスの興味を引きやすいコンテンツ、ひいては読まれやすく、共有されやすいコンテンツを制作するうえで役立つ可能性がある。

 このテクノロジーは、クリエイティブな仕事における人間の作業をどれほど上手に模倣できるのだろうか。

 一例を挙げよう。上記1から4までの文章は、オープンAIが開発した「大規模言語モデル」(LLM:large language model)のGPT-3によって生成され、筆者らが書いた記事冒頭の最初の一文に対応している。このGPT-3の文章には、大半のAI生成コンテンツが持つ強みと弱みが反映されている。それらをまとめると以下である。

 第1に、入力されたプロンプト(指示)の影響を受けやすい。この文章に落ち着くまでに、筆者らはほかの複数のプロンプトを試した。第2に、ある程度は上手に書く。文法の誤りはなく、語彙の選択も適切だ。第3に、編集して改善する余地がある。たとえば、筆者らは本稿のような記事では通常、冒頭で番号付きのリストを提示することはない。最後に、筆者らには思い付かなかったアイデアも出てきた。たとえば4つ目の、コンテンツのパーソナライズは考えていなかった。

 全体として上記の文は、企業にとってのこれらのAIモデルの潜在的価値をよく表している。AIモデルは、マーケティング、ソフトウェア、デザイン、エンタテインメント、対人コミュニケーションに多大な影響を及ぼし、コンテンツ制作の世界を一変させかねない。これは人間が長らく夢見てきた、そして恐れてきた人間と同じ感性を持つ「汎用人工知能」ではないが、表面的にはそうであると思えるかもしれない。