マーケティングへの利用

 ジェネレーティブモデルは多くのビジネスにおいて役立つ可能性があるが、最も可能性が高いのはマーケティングへの利用だろう。

 GPT-3のマーケティング特化版であるJasper(ジャスパー)は、ブログ、ソーシャルメディア投稿、ウェブ用の宣伝文、セールスメール、広告といった顧客向けコンテンツを生成できる。そして出力された生成物に対し、A/Bテストが頻繁に実行され、サーチエンジン・プレイスメントの最適化を維持する。

 Jasperはまた、同社の顧客による最良のアウトプットに合わせてGPT-3のモデルをファインチューニングし、それが大幅な改善につながっていると同社の幹部は言う。Jasperの顧客の大半は個人と小規模事業者だが、一部の大企業内のグループもこの機能を利用している。

 たとえば、クラウドコンピューティング会社のVMウェアでは、ライター陣がメールや製品キャンペーン、ソーシャルメディアの宣伝文といった独自コンテンツの作成にJasperを使う。プロダクトレッドグロース担当ディレクターのローザ・リアによれば、Jasperは同社のコンテンツ戦略の強化に貢献し、いまではライター陣が、調査や概念化や戦略の質を高めるための時間を確保できているという。

 PR・ソーシャルメディアエージェンシーのルビーメディアグループを所有するクリス・ルビーは現在、ジェネレーティブモデルによる文章と画像の生成を活用している。これにより検索エンジン最適化(SEO)が最大限に活かされ、PRではライターが宣伝文をパーソナライズする際に役立つという。

 これらの新しいツールによって、著作権上の新たな課題が生じると彼女は考えており、顧客のAI使用方針の策定を支援している。ツールを使う時には非常に多くの指示、編集、反復を伴うため、「AIが10%、私が90%」と彼女は言う。

 これらのツールによって、検索エンジンに適した形のライティングが行われ、質と完成度が高まるという。また画像生成ツールは、あらかじめさまざまなシーンの写真を用意し、データを提供するストックフォト市場に取って代わり、クリエイティブな仕事の再興を導くかもしれないと彼女は感じている。

 DALL-E 2やその他の画像生成ツールは、すでに広告に使われている。一例としてハインツは、同社のロゴに似たラベルが付いたケチャップのボトルの画像を用いて、「AIにとって『ケチャップ』はこう見えます」と主張した。もちろん実際には、ハインツのケチャップボトルの画像をかなり大量に使ってモデルを訓練したにすぎない。

 ネスレはAIで拡張されたフェルメールの絵画を、ヨーグルトブランドの販売促進に活用した。アパレル会社のスティッチ・フィックスは、個々の顧客に合わせて服をレコメンドするためにAIをすでに活用している。同社はDALL-E 2を用いて、色、生地、スタイルに関する顧客の要望に基づいて服を視覚化する実験を行っている。マテルは、玩具のデザインとマーケティングのための画像生成にこのテクノロジーを用いている。