コスト削減
メリット
今日、プロフェッショナルサービスがブランドを維持するには、多大なコストがかかる。これは主に、インターネットやソーシャルメディアに対応するためだ。ブランドメッセージを世の中に届け、「人々の視線を引き付ける」プレッシャーは半端ではない。人材も必要になる。ブランドを整理統合すれば、生じた余剰によってコスト削減が可能になる。
全国に複数の支店を持つ法律事務所で、マーケティングマネジャーを務めているレベッカに、事務所のブランドを維持するために必要なことを聞いた。彼女は3人のスタッフとともに、事務所のホームページを更新し、グーグルとフェイスブックに広告を掲載し、顧客に役立つメールマガジンを定期的に配信し、リンクトイン、フェイスブック、インスタグラムなどのSNSに、週に3~4回投稿しているという。これを複数のブランドで継続して行うには、時間と費用がかかり、骨も折れる。
デメリット
ブランドの統合は、必ずしもコスト削減につながるとは限らず、逆に収益の減少につながることもある。統合されたブランドからの収益が、
イメージの刷新
メリット
2つのブランドを第3のブランドに置き換えるというブランド統合の方法がある。プロフェッショナルサービス業界では、プライス・ウォーターハウスとクーパース&ライブランドが合併してPwCとなり、現在では四大会計事務所の一つとなっている。再出発を象徴する方法として、一部のケースで行われている。
デメリット
顧客やスタッフを置いてけぼりにすると、統合が裏目に出る可能性がある。顧客の中には、旧ブランドを見失い、新ブランドに気づかなかったり、単に変化を嫌ったりする人がいる。PwCの一部であるPwCコンサルティングは、この悪い例としてよく知られている。PwCは、PwCコンサルティングを刷新する目的で、「社名をMondayに変更する」と発表したのだ。週の始め、つまり一からのスタートを表す名前のはずだったが、マスコミ、顧客、スタッフからさんざん揶揄された。数カ月後、PwCはコンサルティング事業をすべてIBMに売却した。
正しい進め方
こうした問題への対策と統合の正しい方法の一例として、何件ものブランド統合を手掛けてきた人物を紹介しよう。中堅の会計事務所(仮にハチソンと呼ぶ)の創業者でCEOのジェリーだ。同事務所は、オーストラリア全土に28の支店を構える。ジェリーの成長戦略は、二本立てだ。一つは既存の支店の拡大、もう一つは小規模な会計事務所の買収である。
市場での存在感
会計サービスの市場を調査したジェリーは、顧客がニッチなブランドや感情に訴えるブランドを求めていないことに気づいた。求めているのは、名声や安定、知名度だ。彼は、買収した事務所のブランドを維持することには何のメリットもないと考えている。「買収したブランドの維持は、物事を複雑にするだけです」と言う。
目指すのは、既存客やより広い市場に向けて、新たなスタートを印象づけることだ。彼はそれを「真っ先に絆創膏を剥がすのです」と例える。たとえば、ホームページのリニューアルは、事業開始の初日までに完了させる。そのために、スタッフや顧客と事前に念入りな下準備をしている。そうしなければ大失敗しかねないことが、調査や他社の例からも明らかだからだ。