評価基準の3つのA
説明責任が果たされると、パートナーの間で評価と信頼性が高まるうえ、さらなるプラス面が生まれる。
筆者の同僚で、フライブリッジ・キャピタル・パートナーズのゼネラルパートナーを務めるチップ・ハザードは最近のブログで、投資家に毎月、最新情報を提供することの重要性を語り、「評価基準の3A」として、連携(Alignment)、説明責任(Accountability)、アクセス(Access)を挙げた。
外部への説明責任と最新情報の詳細を毎月発信する習慣は、よい意味での強制機能だと、創業者らはいう。ある創業者は「最新の状況を報告するために、じっくり考える習慣は、社内に対する説明責任にも不可欠だ」と述べた。
透明性が増し、説明責任が果たされると、従業員と投資家の足並みが揃い、どちらも創業者に力を貸してくれるようになる。創業者が率直に、現在の状況や「夜も眠れない難題」を投資家に伝えれば、戦略に関する助言や見込み客の情報、人材の紹介やパートナーシップの機会など、支援を得やすくなるだろう。
創業者と「徹底的な透明性」
世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者であるレイ・ダリオは「徹底的な透明性」というフレーズで有名だが、これは、あらゆるコミュニケーションにおいて直接的で率直な文化が実践される企業の経営モデルを説明する哲学である。彼の著書『PRINCIPLES』は、ビジネスと人生全般にわたる哲学としての徹底的な透明性について詳しく論じている。
創業者には、ダリオの著書を手本として、すべてのステークホルダー、とりわけ投資家に対する徹底的な透明性を重んじることが求められる。
セラノスとFTXの創業者は、腐敗していたというよりも、自分の能力を超えた状況の中でどうすればよいかわからなくなったのだろうと、両者をかばう声もある。だがいずれにせよ、今日の創業者は「他人の資産を預かり、管理する者」としての説明責任と透明性を果たすことで、同様の落とし穴に陥らずに済むだろう。そればかりか、連携を強め、チャンスを増やし、最終的な価値を高めることができる。
そうすることで、ポジティブなインパクトを世界に与えるような、価値と持続性のある企業を構築できるようになるはずだ。
"Why Startups Should Embrace Radical Transparency," HBR.org, November 22, 2022.