
米国で進む給与透明化の義務付け
あなたのチームメンバーの1人が、自分の給与はなぜ給与範囲の最低額なのかと言ってきた。あるいは、しかるべき報酬を得ていないと言う従業員がいる。突然のことのように思われるかもしれないが、誰しも自分の賃金に満足していないのである。給与の透明性が問われている。
2023年に入り、全米労働者の5分の1が「
こうした新法により、従業員が自分の給与について同僚と話し、理解あるいは納得ができない時にその是正をマネジャーに求めることが増えるだろう。これは必ずしも悪いことではなく、透明性のある文化は、従業員の退職を抑止する可能性がある。
現場のマネジャーが、従業員の給与について最終的な決定権がないことを理解することは重要だ。給与についてオープンに話し合うための適切な準備をする姿勢があれば、会社や仕事、給与に対する従業員の考え方にプラスの影響を与えることができる。ここでは、関係者全員にとって最良の結果を得るための会話の進め方を紹介する。
防衛的にならない
これは、誰にとっても比較的新しい問題であることを忘れてはならない。あなたはまず、「いまは給与について話し合う時期ではないので、年末の人事考課の時に話しましょう」などと言って、従業員の要望をすぐに却下してしまうかもしれない。「私は給与についての決定を任されていません」と言って、責任転嫁するのもよくない。
冷静になり「この話があなたにとって重要であることはよくわかります。ミーティングの予定を組みましょう」と言うべきだ。そうすることであなたは、重要な話し合いに向けて準備をする時間を確保することができる。
学ぶ
かつては従業員の給与や報酬、福利厚生を決定する際に、現場のマネジャーが会社の理念や慣習に意識を向ける必要はなかった。しかし、給与の透明性に関する新しい法律が導入されたいま、それはもう通用しない。給与に関する質問に答える際には、信頼できる人物であるという印象を与える必要がある。
企業の財務状況、業界の動向、労働力の確保、企業規模など、多くの要素が組織の全体的な報酬戦略を決定する。給与に関する質問に答える準備をするために、人事チームのメンバーと給与の仕組みについて話し合っておくとよい。
人事チームは、関連する法律についての理解を手助けしてくれる。たとえば、給与の透明性に関する一部の州法は、一定数以上の従業員を擁する雇用主に対して、掲示するすべての求人に給与の範囲、昇進と異動の機会について記載するよう義務付けている。また、求職者がこれらの情報を要求した場合にのみ、雇用主に開示を義務付けている州もある。