会話がうまく進む場を整える
給与のような非常にデリケートな内容についてどこで話すかは、相手の反応を大きく左右する。同時に、あなたの望む結果に直接影響する可能性がある。オフィスがオープンな環境なら、会議室を予約すべきだ。リモートワークの従業員と給与について話し合う場合は、プライバシーが確保できる場所で通話するよう伝える。
給与に関するよくある質問に備える
上記の指針に従うことで、重要な会話の準備はできる。では、実際の会話ではどのようなことを想定すればよいだろう。以下は、よくある質問とその回答例だ。
「私の給与はどのように決まるのか」
このポジションには給与の幅があり、スキル、必要な経験レベル、役職、勤務地(該当する場合)などの要素によって決定される。あなたの給与は、採用されたポジションと、あなたの学歴と経験に基づいている。
「なぜ私は同僚より給与が低いのか」
給与に関する直接的な比較は必ずしも正確ではない。人々はさまざまなレベルのスキルや教育を以て採用され、異なるレベルで仕事をするからだ。あなたが望むなら、給与を上げる方法について話し合うことができる。
「なぜ最近入社した人のほうが私より給与が高いのか」
学歴、経験、技能のレベルなど、給与を決定する要素は多くある。あなたの経歴についてあらためて私に教えてほしい。もし見落としていることがあれば、上司や人事部と相談したい。
「給与範囲とは何を意味し、会社は私の給与がその中のどこに位置するのかをどのように決定しているのか」
給与範囲とは、組織が特定の仕事に対して支払う基本給の最低額と最高額の幅のことだ。あなたの給与がその範囲のどこに位置するかは、需要と供給、あなたの経験と学歴、時には場所、会社の予算、必要とされるスキルセットなど、さまざまな要因によって決定する。
「私の給与が競争力のあるものかどうか、会社はどのように判断しているのか。競争力が低かった場合はどう対処するのか」
給与調査に参加するなど、さまざまな方法で給与を観察し、市場に後れを取らないようにしている。必要であれば、個人単位で市場調整を行っている(注意:従業員に伝える前に、あなたの会社でこうした措置が取られているか、人事部に確認すること)。
話し合いののちに
給与や、個人が組織にもたらす価値について話すことは、簡単なことではない。しかし、それについてオープンで誠実な会話をすることで、従業員はマネジャーを信頼し、マネジャーは従業員の成長の機会を見出すことができる。このことを忘れずにいれば、1回きりではなく、継続的な会話の準備ができる。そして、会話は継続されるべきだ。
従業員には、会話の内容を振り返り、自分なりにリサーチをするよう促そう。未解決の問題については、必ずフォローアップのミーティングを行わなければならない。
最後に、追加の質問が挙がるのはよいことだと心に留めておこう。従業員にも、あなたと同じように、問題を解決する意思があるということなのだから。
"Managers, Are You Prepared to Answer Questions About Pay Equity?" HBR.org, November 28, 2022.