レジリエンスが求められた1年、私たちは何を学んだのか
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サマリー:HBR読者に対して、2022年に得た最も大きな気づきは何だったかなどを尋ねたところ、投稿の中で最も多く挙げられていた言葉は「レジリエンス」だった。日常を根底から覆し、いまだ収束しないコロナ禍を乗り越えようと... もっと見るしている私たちに、ふさわしい言葉といえるだろう。この記事では、そのほかに寄せられた読者の声を紹介する。 閉じる

2022年の言葉は
「レジリエンス」がトップに

 年末になると、HBRの読者に、その年に得た最も大きな気づきは何だったかや、そこから何を学び、今後に活かそうと思っているかを尋ねるのが、『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)編集部の恒例行事となっている。2022年を振り返る多くの投稿でトップに挙がった言葉は、「レジリエンス」(再起力)だった。日常を根底から覆し、いまだ収束しないコロナ禍を乗り越えようとしている私たちに、ふさわしい言葉といえるだろう。

 アーカンソー州リトルロックに住むHBR読者のバウナ・ジャは、次のように述べている。「この数年間は困難が多く、幾度も試練を経験しましたが、特に印象に残ったのは、人々のレジリエンスです。私たちは希望を持ち、冷静かつ謙虚になりました」。

 もちろん、レジリエンスが求められたのは、コロナだけが理由ではない。多くの人々が経済情勢や、レイオフ戦争環境危機など、あらゆる困難に見舞われた。しかし、私たちが不確実性に対する耐性をつけたという希望を与えてくれる言葉も、読者の回答の上位を飾った。「柔軟性」「持久力」「変革」「アジリティ」(敏捷性)は、何度もランクインしている。

 また、2022年は「静かな退職」とその対に当たる「静かな解雇」が大きな話題になった。2022年にHBR.orgで最も読まれた記事のトップ10のうち半分は、当然かもしれないが、入社面接でよく聞かれる質問に対する答え方や、カバーレターの書き方など、転職活動に関する記事だった。

 このほかに寄せられた読者の声を紹介しよう。

仕事、解雇、静かな退職について

「いまにして思えば、2022年は大いなる『再適応』の年だったように思います。仕事で知り合った人の多くは、テック系、あるいはテクノロジーによって成長拡大した企業に勤めています。(2022年の)年が明けた頃、彼らはコロナ禍をうまく切り抜けられたことを誇りに思い、有頂天の様子でした。それは当然でしょう。ところが徐々に状況が悪化し始めたのです。

 有能な人々がこのような経験をすると、自分が会社に何を求めているのか、その会社が何のために存在するのかを見つめ直すようになるのではないでしょうか。職を失った人たちは、あらかたすぐに仕事を見つけ、なかには仕方なしに方向転換させられたという人もいますが、そのおかげで発見できることもあるようです。さまざまな人がこれまで考えもしなかった場所で仕事を探すようになり、2023年は人材地図が大きく変わると思います」
――カトリアン・ナハテルゲール(オランダ/ポルトガル)

「備えましょう。レイオフより大変なのは、不意打ちを食らうこと、つまり何の準備もないまま突然、失業状態に陥ることです。記憶してなければ、職務経歴書に『具体的な数字』を示せません。人に見せられる事例や実績も必要。あの保存しておいた『好印象』メールのファイルがあったら…。後悔先に立たずです」
――ニコール・コモ(マサチューセッツ州ボストン)

「静かな退職は、凡庸な人間になるためにするのではありません。境界線を引くためのものです。多くの人が報酬をはるかに超えるような時間のかかる仕事を課せられ、疲れ果てています。他の人がやるべき仕事を一時的に引き継いで、それをいつまでも返せないことに嫌気がさしているのです。要求される仕事量がどんどん増えてキリがなく、自分の仕事の範囲を大幅に超えて働いても評価されないことに、うんざりしています」
――カーラ・モリカ(オーストラリア、シドニー)