自分のスキルを活用できず、成長もない

 ほとんどの人は、自分のスキルを使ってインパクトを生み出したいと思っている。そこで、すでに習得しているスキルと、今後のキャリアアップのために習得すべきスキルについて考えてみよう。

 たとえば、自分としては問題解決のスキルを駆使したいのに、複雑な問題に取り組む機会がない時には、「もっと複雑な業務を担当させてほしい」「複雑な問題が話し合われるミーティングに参加させてほしい」と、上司に頼んでみてはどうだろう。チームを管理したいと思っているなら、リーダーのポジションに就く可能性があるかどうかを考えてみる。

 いずれも答えが「ノー」である場合には、いまの職場に留まっていても、キャリアアップは見込めないかもしれない。

仕事ぶりを知ってもらえる機会がない

 仕事を成し遂げることは、長期的な成功やキャリアアップにつながる要素の一部にすぎない。上司があなたに、注目度の高いプロジェクトや部門横断的なプロジェクトに関わる機会を与えてくれれば、その仕事ぶりが周囲の目に留まるようになり、いろいろな人があなたのスキルや能力に気づいてくれるだろう。

 あなたが誰で、何をできるかが知られるようになれば、あなたというブランドに対する認知が生まれる。そのブランドが成長するにつれて、あなたはアイデアや解決策を生み出すリーダーとして、あるいは事業目標に貢献する人物として認められるようになるだろう。このように、スキルや能力を見てもらえる機会と、優れた仕事の成果が相まって、新たな機会や昇進につながっていく。

 マネジャーや同僚の前でプレゼンテーションをしたり、レベルの高いミーティングに参加したりする機会を与えられなければ、あなたが誰で、何ができるのかというブランド認知を高めることはできない。そうなれば、その組織で成長するのは難しくなるだろう。

やる気になれない

 月曜日の朝に目が覚めた時、会社に行くのが嫌で仕方がないと思ったことがあるだろうか。たいていの人は、週末が永遠に続いてほしいと思うものだが、ふだんは期待される以上の成果を上げる人が、必要最低限のことしかしなくなったなら、仕事に不満を抱いている可能性が高い。

 仕事がマンネリで面白くないと感じたり、仕事のさまざまな側面に毎日いら立っているとすれば、もうその仕事はあなたには合っていないのかもしれない。興味深い新プロジェクトに手を挙げる、あるいはいま携わっている仕事に共感する方法を見つけるなど、再びやる気になるきっかけがない場合には、働くことへの意欲を取り戻す最善の方法は、転職なのかもしれない。

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 本稿で挙げた5つのサインはどれも、「自分の仕事に対するエンゲージメントの欠如」を示している。それはいずれ目に見えるものになり、あなたのキャリアを危険にさらすだろう。

 もし自分が毎週40時間、満たされない気持ちで過ごしていることに気づいたら、誰かに指図されるのを待つよりも、自分で人生の主導権を握ったほうがよい。再びエンゲージメントを高める方法があるのか、転職したほうが満たされるのかどうかを考えてみてほしい。


"5 Reasons to Leave Your Job - Even in a Downturn," HBR.org, January 04, 2023.