
家族一丸となって困難を乗り越える
レイオフがつらい経験であることは、誰もが知っている。ストレスや不安が募り、経済的に不安定になる。好きだった仕事を失う悲しさや、同僚と離れる寂しさもある。
だが残念ながら、レイオフはよくある話だ。アメリカ人のおよそ40%が、キャリアのある時点で少なくとも一度はレイオフを経験している。たとえ自分が解雇されなくても、次は自分の番かもしれないと思ったり、解雇された同僚に別れを告げたりするだけでも不安が高まるものだ。
いざ自分が解雇されたら、さまざまな懸念が生じる。住宅ローンや家賃、食費、職探し……。そして、このレイオフが自分の人生だけでなく、家族にも影響を及ぼすことに気付くと、ストレスはさらに膨れ上がる。特に、心配なのが子どもへの影響だ。自分が解雇されたことで、子どもたちにどのような影響が生じるだろうか。サッカー教室の受講料や歯科矯正の費用についても、急に心配になるかもしれない。
忘れてはならないことは、レイオフが家族全体の問題だということだ。そして、職を失うという、つらい現実に家族で向き合う必要があるということである。
だからといって、4歳の子どもに家計の詳細を伝える必要はないし、見知らぬ町に転校することになるのではないかと、10歳前後の子どもを不安がらせる必要もない。ただ、家族との対話に、そしてあなたが抱える問題に、明確かつ相手の年齢に合った方法で向き合う必要はある。
本稿では、家族が一丸となって失業という事態を乗り切るための7つの秘訣を紹介しよう。
対話の準備をする
まず、失職したことを家族に伝える必要がある。それも早急に。
この時点では、あなたはまだ生々しい感情を抱え、今後の展開に強い不安を感じていることだろう。そのようなタイミングで家族に状況を伝えるのは、極めて困難な作業だ。子どもが想定外のことを言い出したり、答えられない質問をしたりすると特に、話が意図せぬ方向に向かってしまいがちだ。
ここでの最善の方法は、対話の目的、家族に伝えておきたいこと、黙っているほうがよいことを前もって決めておくことだ(パートナーと一緒にシナリオを想定するのも一案だ)。
たとえば、住宅ローンの支払いについて本気で心配していたとしても、自宅の売却が現実的な選択肢に挙がっていないのなら、売却について触れる必要はない。家族によけいなストレスを与えず、伝えておくほうがよいことは何かを考えよう。
年齢に合った対応をする
4歳の子どもとの会話と、ティーンエイジャーとの会話はまったくの別物だ。幼い子どもに話す時には、言葉の選び方が重要になる。「ママはしばらく会社に行かないよ」というように、子どもが理解できる言葉で語りかけよう。
避けるべき表現もある。ニューヨークのファミリーズ・アンド・ワーク・インスティチュート創業者兼会長のエレン・ガリンスキは、子どもは「I got fired」(解雇された)という表現を聞いて、銃を思い浮かべるかもしれないと警告している。また、大半の幼児は「レイオフ」の意味がわからないとも指摘している。
これに対し、年齢が上がれば、子どもは「失業」に含まれる微妙なニュアンスも理解できる。親の失業が自分に与える影響について、子どもにあれこれ質問されても驚かないこと。その一方で、子どもが聞きたいことを口にできるまでに時間がかかる場合もある。「聞きたいことがあれば、いつでも聞いていいよ」と伝えておこう。