アジェンダのないミーティングはしない
あなたはこの1週間で、どれだけのミーティングに出席しただろうか。まず自問してほしいのは、そのうちのいくつが時間の無駄で、本来ならメールで済ませられるはずのものだったか、である。次に、自分が出席したミーティングのうち、主催者から事前にアジェンダが配布されたものはいくつあったか、思い出してみてほしい。おそらく、ゼロに近かったのではないだろうか。
アジェンダが発明されたのには理由がある。その習慣は高校の生徒会では忠実に守られているのに、なぜか会社に入ると忘れられしまうのだ。
自分の手で問題を解決する努力を怠り、ミーティングに頼ろうとするケースがあまりにも多い。たしかに、コラボレーションはパワフルな問題解決ツールになりうるが、「自分の頭で考える」という大変な作業を避ける口実にミーティングを利用してはならない。
事前にアジェンダを要求することで、会議の主催者としての努力を少しばかり加えるとともに、全員の意識を一致させ、不必要なミーティグを減らすことができる。
マネジャー自身が模範を示す
企業文化とは、水と同じように上から下へと流れていくものだ。従業員はマネジャーを見て、自分に期待されていることを知る。マネジャーがミーティングの最中にスマホばかり見ていたり、真夜中にメールを送ったりしていては、部下に仕事に集中させることはできない。
それゆえ、マネジャーであるあなた自身が集中して仕事をする時間を設定することが欠かせない。あなたが対応できる時間を周囲に知らせよう。そして、部下が集中して仕事をしている時間帯には、じゃまをしないことだ。集中できる職場をつくるうえで最も重要なステップは、あなた自身が部下のじゃまをしない上司になることである。
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マネジャーは、従業員の気が散っているのはフェイスブックやティックトック、ネットフリックスのせいだと思っているかもしれない。だが実際は、マネジャー自身の働き方が原因になっている可能性のほうが高い。
本稿で示した戦略、すなわち集中の妨げになっている問題を話し合い、スケジュールを同期し、アジェンダのない形ばかりのミーティングを減らし、相手のじゃまをしないとはどういうことか模範を示すことで、仕事が中断される根本原因を突き止め、従業員のウェルビーイングと生産性を高められるはずだ。
"Managers, Stop Distracting Your Employees," HBR.org, January 12, 2023.