「集中を妨げる原因」について対話を持つ
仕事において注意散漫になってしまうことの大きな問題点は、この問題を解決するための話ができないことだ。何が一番仕事のじゃまになっているか、部下にフィードバックを求めても、本音を言えば報復されるのではないかと恐れて、口を開こうとしない。
従業員にとって最高の仕事ができる文化を構築するには、心理学者が「心理的安全性」と呼ぶもの、つまり合理的な懸念を提起しても罰を受けることはないという安心感を、マネジャーが醸成する必要がある。職場の問題点を指摘しても安全だと従業員が思えた時に初めて、その是正策が見つかるだろう。
あなたの職場で、仕事の集中を妨げる原因について話ができないなら、ほかにも口に出せない多くの問題が隠されている可能性が高い。
部下とスケジュールを同期させる
多くのマネジャーは、自分の部下が時間をどう使っているかほとんど知らない。そのため、何らかのタスクやプロジェクトを終わらせるのに、自分が期待する以上の時間をかけているのを見ると、能力が足りないのではないか、もっとうまくやろうというモチベーションが足りないのではないかと考える。
だが、現実はそうではない可能性が高い。彼らはおそらく、無意味なミーティングや延々と舞い込んでくるメール(そのうちのいくつかはあなたが送ったものかもしれない)によって、しょっちゅう仕事を中断させられている。
チームのスケジュールを同期させると、メンバーの時間の使い方について、よりよいインサイトが得られるだろう。その方法はいくつかある。
一つの方法は、「いつ、何をする予定か」を記したカレンダーを共有させてほしいと、チームメンバーに頼むことだ。たとえば、メールやメッセージに返信する時間帯、集中力を要する仕事をする時間帯、電話やミーティングに対応可能な時間帯などとタイムボックスに示されていれば、従業員の1日の計画が可視化される。そうすれば、集中力を要する仕事をしている時や休憩時間の妨げになることを避け、必要に応じて優先順位を見直すように促すこともできる。マネジャー自身のカレンダーも共有すれば、部下のほうも、いつあなたに話しかけてよいかがわかるだろう。
スケジュールを同期させる別の方法としては、チームメンバーに毎日、具体的に「じゃまされずに集中したい時間帯」を指定してもらうことだ。そうすることで、その時間帯はメッセージや電話、メールのやり取りができないことがわかり、会議や対面のチェックインの予定を入れるのも避けることができる。
スケジュール同期を戦術として用いることで、マネジャーはマイクロマネジメントに陥ることなく、部下の時間の使い方について、よりよいインサイトを得ることができるだろう。