多様性を強化する

 採用活動において多様性を向上させることは、センシティブかつ時間のかかるプロセスであり、積極的な採用目標を掲げている時には全体を管理することが難しくなる。だからこそ、より優れた客観的な採用プロセスの構築に注力するには、採用が減速している時が最適なのだ。

 まずは、これまで採用チームがどのように面接を行ってきたかを注意深く見直す。従来と異なる経歴を持つ有能な候補者を、意図せず排除してしまう質問はないか。もしあれば、その質問を変更したり、よりよい成功の指標になるものと置き換えたりすることはできるだろうか。

 また、この機会に採用ファネル全体のデータを深く掘り下げて、検証すべきだ。採用ファネルにおいて、過小評価グループの候補者がこぼれ落ちている段階はないか。それらの候補者を常に不合格にしている採用マネジャーはいないだろうか。

 いまこそ、このような問題を特定して、アンコンシャスバイアス研修を実施したり、ジョブディスクリプション(職務記述書)をよりインクルーシブにするための改訂を行ったり、外部機関をチームに招聘したりして対処すべきだ。

チームのスキルアップを図る

 チームの仕事量が通常より少ない場合は、メンバーのスキル向上の支援を検討する。チームにスキル評価を行う時間と許可を与えたうえで、学習と人材開発を通じてギャップを埋める計画を立てることだ。

 リクルーターにとっては、米国人材マネジメント協会(SHRM)やリンクトイン・ラーニングのオンラインコースを受講したり、資格取得を目指したりするのに最適な時期だ。テクニカルリクルーターは、ギークルーター・アカデミーやデブスキラーなどのコースを受講して、技術に関する知識を新たにし、募集する職種のベストプラクティスを身につけるとよい。

採用マネジャーとの絆を深める

 人材獲得を成功に導く最大の要因は、リクルーターと採用マネジャーの間に強い絆があることだ。採用マネジャーの満足度を向上させた組織は、採用までの時間を3分の1に短縮する可能性があり、採用の質を2倍向上させる可能性がある。

 採用が減速している時こそ、そのような関係を育むことができる。マネジャーがチームの将来像をどのように描いているかを詳しく掘り下げ、採用にかかる期間や質の問題をはじめ、採用チームの過去の実績についてフィードバックを得る時間を取る。また、採用が再開された時にどの職種が優先されるかを確認しておき、実際に募集する際にリソースを確保できるようにするのにもよい機会だ。