もちろん、多様なモデルを組み合わせて社会貢献の取り組みを進めることも多いため、複数のアーキタイプに当てはまる企業もあるし、実際にそうである。しかし筆者らの認識では、アーキタイプが複数やどっちつかずの場合、それによって社会的インパクトを弱めている可能性がある。というのは、必要とされるスキルや能力、活動は、アーキタイプによって大きく異なるからだ。そうした、まったく異なる要件のすき間を埋めるには、スタッフの負担が大きく、軋轢や緊張が生まれやすい。また戦略的な明確さが失われ、インパクト評価がしにくくなる。

 このツールは実用化の初期段階にあり、関連する知見の収集を続けているところだが、オペレーティング・アーキタイプを試行した資金提供企業は、多くの「アハモーメント」を経験している。最も頻繁に見られる学びの一つは、これまで長い間自認してきたアーキタイプが、(専門知識、能力、運営や助成金支給アプローチに基づく)現実の姿とは異なっていることに気づくことである。

 企業が現在または将来(あるいはその両方)の望ましいオペレーティング・アーキタイプを特定し、分析する際には、このフレームワークを利用して、戦略的目標や道筋、組織の改革、リソーシング、人員、公平性について社内外で話し合うとよいだろう。以下は、そのような議論の出発点として役立つ質問である。

・いまの姿は、目指す姿と一致しているか。
・組織全体の能力をどのように評価しているか、また能力を開発できるか。
・現在持っているスキルや能力と、望ましい姿との間の整合はとれているか。
・望ましい姿を実現するために、どのようなリソース、能力、機能を強化する必要があるか。
・助成先、コミュニティ、パートナーの声にどうすれば真摯に耳を傾け、その意見を意思決定、評価、出資に反映できるか。
・ニーズと機会の両立点をどのように評価することで、最大のインパクトをもたらす領域を見出せるか。
・どのようにインパクトを評価するか。それは自社のオペレーティング・アーキタイプに合致しているか。

 今後、世界中のさまざまなタイプのフィランソロピー組織が、このフレームワークにどのように当てはまるのか、理解を深めたいと考えている。そうした知見が、より思いやりのある、効果的で公平なフィランソロピーの創造やベストプラクティスの推進につながり、より強力なインパクトをもたらすようになれば幸いである。


"Aligning Your Philanthropic Operating Model with Your Goals," HBR.org, January 13, 2023.