視野を広げる
あなたのキャリアを全面的に支援してくれる上司がいるなら、それは素晴らしいことだ。そうしてもらえているうちは、その恩恵を享受し、将来、部下や後輩に同じように接することで、恩返しをすると心に誓ってほしい。
たとえ上司に恵まれていたとしても、ビジネス環境は不安定であるため、自身の成長に関して、必ずしも揺るぎないサポートを得られるとは限らない。そのような時は、視野を広げるとよい。
あなたの働き方に影響を与える関係者はたくさんいる。上司だけでなく、あなたのキャリアにとって重要な人をリストアップしよう。リストには、同僚、直属の部下、幹部などが含まれるだろう。そして、その人たちとの関係をどのように構築していくかを考える。
リストを作成し、それに基づいて積極的に行動することで、あなたのキャリアがたった一人の人との人間関係に左右されるわけではないことがわかるだろう。身につけたいスキルを持つ人に、それをどのように学んだか尋ねたり、知識を広げられるような取り組みに自主的に参加するチャンスを探したりすることもできる。
たとえ直属の上司があなたの成長に時間を割いてくれなくても、あなたの成長によい影響を与えてくれる人は他にもいるはずだ。次にやりたいことの基盤となる選択肢、アイデア、機会、意見交換の場、人脈を探求し続けよう。
成長につながる仕事上の関係を築く
「重要な人」のリストを作成したら、自分のネットワークに空白部分がないかを考える。最も重要なのは、メンターとスポンサーの役割を担う人だ。
現在、あなたにはメンターがいるだろうか。いない場合は、複数のメンターを見つけることに力をそそごう。社内にスポンサーになってくれる人はいるだろうか。上司にその役割を期待できない場合、誰があなたを応援してくれそうかを考える。
あなたのキャリアにとって重要な人物のリストを見直して、シニアリーダーの名前に丸をつけよう。可能であれば、その人たちとつながりを持ち、キャリアについて対話をする機会を見つける。自分の目標を明確にし、フィードバックを求めよう。
シニアリーダーと接触するに当たり、直属の上司を避けているように見えるのが心配なら、積極的に対処することだ。まず、その上司が達成した大きな成果について考え、その功績を引き合いに出し、自分がいかにキャリアアップを望んでいるかを説明する。さらに、その上司に対して、その上司以外にメンターを積極的に探していることを伝え、メンター探しの進捗を報告したほうがよいか確認しておくことだ。
メンター候補を検討する際には、以前の職場の上司や同僚も忘れてはいけない。過去に一緒に働き、あなたを育てようとしてくれた人がいれば、つながりを維持すべきだ。また、専門団体を通じて、業界のシニアリーダーから学んだり、話をしたりする機会を得ることもできる。
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上司とうまくいかないのは、気分がよいものではないが、それですべてが終わるわけではない。あなたのキャリアは、最も価値があり、最も個人的な投資先である。困難に突き当たっているのなら、積極的に自分の可能性に再投資することが極めて重要だ。
前向きに考え、四半期ごとにキャリアコミットメントを見直し、自分の目標、成果、知見を確認する。人脈を築き続け、視野を広げる。すすんで人と関わり、キャリアについて話をする。自分が自分自身の最大の味方になることができれば、のちに振り返った時に、この瞬間が前進のきっかけになったと気づくだろう。
部下の成長に無関心なマネジャーに、あなたの仕事への熱意やキャリアの価値、目標を狂わされてはならない。このようになりたいという目標に向かって行動しよう。もっとうまくできると思ったら、さらに上を目指す努力をする。自分自身にたえず投資し続けなくてはならない。あなたのキャリアの面倒を最初から最後まで見てくれる人は、あなた以外にいないのだから。
"Don't Let an Indifferent Boss Hold You Back," HBR.org, January 23, 2023.