
影響力を駆使して、相手のキャリアを前進させる
コンサルティング会社のようなプロフェッショナルサービス企業だけでなく、さまざまな業界の企業が、多様な従業員のキャリアを支援するためにスポンサーシッププログラムに力を入れるようになっている。
「スポンサー」の役割を務める人物は、精神的支援やコーチングを行うメンターとは異なり、みずからの政治的影響力を利用して、ペアである相手を擁護したり、支援したりするなどの戦術的行動を取ることで「スポンシー」、すなわちスポンサーシップで支援を受ける人物のキャリアを前進させる。
企業のスポンサーシッププログラムではたいてい、1ページにまとめられた資料、よくても1時間程度の面談だけで、スポンサーを務めるシニアリーダーとスポンシーの「お見合い」を済ませて、ペアを決めている。スポンサーシッププログラムの採用が増える中で、スポンサーを務める側は、最初の面談以降にどのような行動を取るべきかについて、より実践的な手引きを必要とするようになった。
本稿の筆者らは、これまで多くの時間を割いてこのテーマについて考えてきた。筆者の一人、イバーラはキャリア開発の専門家であり、10年以上にわたりスポンサーシップのダイナミクスを研究してきた。もう一人の著者であるシモンズは、スポンサーシッププログラムについて世界中の組織に助言し、制度の設計と実行を支援している。
最近、筆者らは数多くの企業で、スポンサーとスポンシーの双方に、自社のスポンサーシッププログラムについて、うまくいっている点とうまくいっていない点について話を聞いた。そこから見えてきたのは、優れたスポンサーが実践している6つの行動だ。以下に紹介しよう。