3. 面談を行うだけで終わりにしない

 傑出したスポンサーは、スポンシーが成長への欲求を持つだけでなく、実際の行動に踏み出せるように、戦術的なアプローチを実践する。ある人物がシニアレベルまで出世するというプロセスは、いわばチームスポーツであり、数多くのステークホルダーの支持を得なくてはならない。この点についても、優れたスポンサーはきちんと頭の中に入っている。

 早い段階で取る行動としては、スポンシーを自分のネットワークの関係者に好意的な人物として紹介したり、スポンシーの上司と面談して、その人物の成長可能性について理解を深めたり、スポンシーがその場にいない時でもその人物の名前に言及したりすることなどが含まれる。

 スポンシーの能力とキャリア開発上のニーズを把握した後は、その人物を昇進させるために自分にできることを広い範囲で検討し、小さな行動が時に大きな変化の引き金となる場合があると考えて行動する。

 筆者らが実際に見てきた中にも、さまざまな方法があった。たとえば、スポンサーがスポンシーにみずからのキャリア開発プランを見せたり、年次のパフォーマンスサマリーの書き方を細かく指導したりしていた。社内の役職の空席情報を調べたり、シャドーイング(仕事に同行し観察する職務訓練)の一貫として最高経営幹部の会議に同席させたりするケースもあった。

 ほかにも、エグセクティブコーチを探す、新しい役職に名乗りを挙げる際の必要書類を書くのを手伝う、新しい市場への出張に同伴させる、本人がまだ気づいていない新しいチャンスを見つける、といった例が見られた。

4. 必要な情報は、透明性のある形で集める

 スポンサーは多くの場合、スポンシーが持っている可能性について判断を下すのに必要な情報が手元にないと感じている。この傾向は、スポンシーが社内の他部署で働いていて、その人物の仕事振りを直接目にすることが少ない場合、特に顕著だ。

 このようなケースでは、スポンサーは次のように考える。スポンシーに、360度フィードバックの内容を見せてほしいと言うべきだろうか。あるいは、スポンシーの上司に話を聞いたほうがよいのだろうか。

 これらの重要な問いに対する答えは、個々のケースによって異なる。スポンサーの上司は、スポンサーがスポンシーのキャリアを後押しするうえで最高のアライ(支援者)になる場合もあるだろう。しかし、上司が問題の一部となっている場合もある。

 スポンシーとの関係に誰か別の人を引き込む場合は、事前に本人の承諾を得ることが欠かせない。どのような情報を必要としているのか、そして誰からその情報を得たいのかを明確に伝えて、問題がないか本人に確認する。スポンシーが拒む場合は、必要な情報を得るために別の方法はないか、相談することだ。