コーチングは個人ではなくチームに対して行うことで効果を発揮する
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サマリー:リーダーによるコーチングで着眼するのは通常、従業員個人だが、本稿はチームに対するコーチングの重要性を説く。いくら有能な個人がいても、ビジネスにおいてはチームで力を発揮してこその個人である。チームに対す... もっと見るるコーチングについて、3つのポイントを紹介する。コーチングに実際の問題を活用する、安易に答えを提供しない、成功、失敗という結果を学習の機会にする、というものだ。 閉じる

チームの力

 チームは、企業のエンジンだ。多様なスキルを1カ所に集めて、問題を解決し、イノベーションを起こし、戦略を実行する。チームは仕事の経験を得られる場所であり、文化がリアルタイムで体験できる場所でもある。チームは、新人が学んだり、その問題解決を支援したりする機会をつくると共に、シニア従業員が知識を共有したり、経験を活用したりする機会をもたらす。

 にもかかわらず、ほとんどの経営システムは現在も従業員個人に注目する。これはコーチングで特に言えることであり、コーチングとは個人の成果や仕事の満足度を高めるために、基本的に1on1で行われるものと考えられてきた。それはそれで結構である。良質な個人コーチングは、極めて価値の高いマネジメント法であり、うまく行われれば、多くの従業員の成果を高めることができる。

 だが、個人として有能な従業員がいたとしても、マネジャーがグループに質の高いサポートやコーチングを提供した時に初めて、集団は真の力を発揮する。

チームをベースにしたアプローチ

 リーダーは、チームコーチングを実践することにより、このギャップを埋めることができる。個人ではなくチームをベースにしたコーチングでは、リーダーは、個人の成果から集団としてのインパクトに焦点を移すことになる。そこでのリーダーの役割は、チームを有機的なユニットとしてサポートすることである。さらに、手掛かりを示し、日常業務や慣例を定め、グループ学習の機会を創出することだ。

 チームコーチングでは、メンバーは自分の役割だけでなく、お互いの長所や短所、目指すものを理解することを促される。また、上司と一対一の関係を構築するだけでなく、メンバー同士の関係強化を促される。コラボレーションのスキルを磨き、仕事上の課題に対して集団として主体性を持って解決する能力を高め、チームに関連して生じるあらゆる問題に対処することを求められる。このような取り組みを通じて、課題とサポートの両方がバランスよく存在する環境が構築され、チームの主体性と説明責任を生み出すことができる。

 筆者らは、教育者や実務家として、チームコーチングのツールやテクニックを使って、チームを研究し、指導し、共に仕事をしてきた。そこで明らかになった、チームでの学習を加速して、成功をもたらす上で最も重要な3つのポイントを紹介しよう。