社内の人的ネットワークを育む

 強力な社内の人的ネットワークは、どんな時でもキャリアで成功を収めるために重要である。組織改編という不確実性の高い状況下では、その恩恵がとりわけ大きい。勤務先の会社で組織改編が行われる時は、情報にアクセスできることやさまざまな機会に恵まれることが極めて大きな強みになる可能性がある。社内の支援者が多ければ多いほど、あなたのキャリアは安泰になるのだ。

 協力者、元上司、メンター、支援者など、社内でつながりたい人物のリストをつくろう。親しい関係にある人だけでなく、最近疎遠になっていた人たちのことも思い出すとよい。一緒に仕事をしたことがある元チームメートや、接点のある他部署の人物、以前仲良くしていた同僚などである。休眠状態にあった人的ネットワークのほうが新しい発見やアドバイスをもたらす可能性が高く、情報とコネの貴重な供給源になりうるからだ。

 たとえば、筆者のクライアントの一人は、組織改編により職を失う危険にさらされていたが、眠っていた社内の人的ネットワークを再び活性化することにより、社内の2つの別々の役職への誘いを受けることができた。社内の人的ネットワークを強化するよう努力すれば、社外での機会を追求せざるをえなくなったり、そのような選択をしたいという欲求を抱くようになったりした時にも、可能性を切り開く役に立つ。

シナリオプランニングを行う

 自社の組織改編がどのように進むか、そしてそれに対して自分がどのように対応するつもりかをじっくり考えることにより、未知の未来に対してより臨機応変に対処しやすくなるかもしれない。

 計画されている組織改編は、あなたにどのような影響をもたらす可能性がありそうか。社内と社外の重要な要素を考慮に入れて、自社の現状を注意深く検討しよう。そのうえで、最悪のシナリオ、最善のシナリオ、その両極端の間のいくつかのシナリオを想定し、そのそれぞれのシナリオに対して自分がどのように対処するかを決める。

 その際、どのようなタイミングで、どのような行動を取るかを考えることが重要だ。早い段階で実行すべき戦略と戦術はないだろうか。たとえば、筆者のクライアントの一人は、新しい部署に移籍できる可能性があることに気づいた。この人物は、その発見に勇気づけられて、上司にアイデアを提供し、チームが直面している問題を解決するために行動し始めた。このように、独創性を発揮して、価値を生み出すことにより、自分にとって好ましい結果をもたらす可能性が高まる。

 最後に、いずれかのシナリオが現実化しつつあることを示す兆候がないかにも注意を払おう。たとえば、上司があなたに対して、自分の役職や業務を詳しく説明するよう求めてきたとすれば、いま上司はチームのリストラを行い、役職を統合するよう迫られている可能性が高い。こうした兆候を見逃さないようにすることで、いますぐ行動を起こす必要がある時がいつなのか、気づけるようになる。

 十分にありうると思えるシナリオを一通り洗い出し、それぞれのシナリオに対する対処法をあらかじめ決めておくことにより、不意打ちを食らうことを避けられる。