キャリアのメンテナンスを欠かさない
時折、履歴書を修正し、リンクトインのプロフィール欄を更新することは、キャリアの健全性を保つうえで好ましい取り組みだ。新たに果たした貢献や達成した業績をすぐに履歴書に反映させることの利点は見過ごせない。組織改編があった時は、その機会を利用して、忘れずに履歴書を更新するようにしよう。
また、組織改編は、現在務めている役職に対する自分の気持ちを振り返る機会にもなる。自分ではまだ新しい道へ足を踏み出す準備ができていないと思っていたとしても、組織改編をきっかけに、価値ある転機が訪れないとも限らない。この機会に、社内もしくは社外でより刺激的な可能性を探ってもよいだろう。
感情をマネジメントし、自分にやさしく接する
こうした不安定な時期に、自分の未来のことを考えてストレスを感じたり、怒りや不安を抱いたりするのは、ごく自然な反応だ。自分の感情をマネジメントするためには、その感情に気づいて、それを言葉にして表現するとよい。たとえば、「職を失うのではないかとストレスを感じています」といった具合だ。自分の感情に名前をつけることにより、気持ちが落ち着き、過剰反応するリスクも小さくなる。
また、組織改編に関連した会話や決定により、自分の人間性が否定的に評価されていると思わないようにしよう。企業のリストラは、あくまでも純然たるビジネス上の理由によって行われる。それ以外に理由があると考えれば、感情面での負担が重くなるだけだ。
筆者のクライアントの例を紹介しよう。その人物は、自分の次の役職がまだ決まっていない状況で、担当部署を新しい責任者に引き継ぐことを求められていた。その時は、自分が評価されていないと感じ、激しく動揺した。
それでも、引き継ぎに協力すべきであることは理解していた。そして、これを機会にあらためて自分の置かれた状況を検討すると、この組織改編は、リフレッシュして新しいことを始めるチャンスになるのではないかと思えてきた。その結果、このクライアントは以前より組織改編に前向きな気持ちになり、自分が不確実性の高い状況で成功できる人間であることを実証できた。そうしたことを通じて、社内の評価が高まり、それまでより高い地位に就けた。
あなたもこのように自問しよう──予定されている組織改編の好ましい側面として、どのような点を挙げることができるか、と。
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会社で行われる組織改編に対して、あなたが及ぼす影響力は限定的なものかもしれない。それでも、前進するための対応については、確実に自分でコントロールすることができる。本稿で紹介した戦略を実行することにより、ある程度の自己決定能力と新しい機会を獲得でき、変化の激しい環境を生き抜くうえで役に立つだろう。
"Navigating Uncertainty About Your Role During a Reorg," HBR.org, February 21, 2023.