権威がなくても影響を与える能力
これまでとは異なる業界の仕事をする場合、自分の経験をもとに経営に影響を与えられるかもしれない。筆者のあるクライアントは、営業の仕事を失い、就職活動をしている間、父親の経営する小さなマーケティング会社を手伝っていたことがある。この時、営業職の経験が、有効なマーケティング戦術とそうでない戦術を見分ける助けになったという。ところが彼女の父親は、自分の会社にとって何が最善かは自分がわかっていると思っていた。このため彼女は、父親に考え方を変えてもらうのに非常に苦労した。
2回試みて失敗した後、父親の視点から物事を見るように努め、父親のペースで変化を促すことにした。すると父親は、彼女が正しいと思う方法をやってみるとよいと言ってくれるようになり、その結果、会社の受注が20%増えた。彼女は父親のビジネスを動かすことに成功したわけだが、同時に、他人に対して効果的に影響を与える方法を学ぶことにも成功し、それが次のキャリアに役に立った。
問題解決力
どのような仕事にもチャレンジがある。なかには複雑なチャレンジもある。問題解決(問題と根本原因を理解し、解決策や代替案を話し合うことが含まれる)がうまくできることは、論理的に整理して思考できることを意味する。新しい仕事の課題を探り、クリエイティブで建設的な解決方法を示す積極的な努力をしよう。また、最善の解決策を実行に移したら、長期的な成功のために定期的な調整が必要かどうかを見極めよう。
リーダーシップ
リーダーシップとは、集団の目標を達成するために、メンバーに手引きを示したり、影響を与えたりして、その能力を最大限に発揮できるようにすることだ。もしかするとあなたは、自分の専門分野で管理職になりたいけれど、まだその機会を得られていないのかもしれないし、もう管理職の経験があるかもしれない。いずれにせよ、聞く力とコーチングの能力と指導力を磨いて、集団が同じ方向を向くようにするスキルを獲得したり向上させたりすることは可能だ。
また、これまでのリーダーシップの経験は、次の世代がリーダーシップスキルを身につけて、キャリア目標を達成するのを助けることに活用できる。
これらのスキルを履歴書でアピールする方法
レイオフされてから最初の数カ月は、異なる業界で仕事をしても履歴書に書く必要はない。ただ、半年以上経ったなら、そして、専門分野での再就職を希望するなら、関連スキルを維持する努力をしていたことをアピールしたいだろう。
いまの仕事を履歴書に書く時は、その経験を自分のキャリアパスと結びつけるようにすること。たとえば、ずっとマーケティング畑を歩んできた人が、いまは小売店で働いている場合、履歴書には次のように書けるだろう。
小売アソシエート
[店舗名]
・消費者を直接観察、交流することで深く理解すると共に、歳末商戦時の店舗ディスプレーで専門知識を提供。
・異なる部門や外部業者と機能横断的に協力し、業績アップにつながるイノベーティブな方法で問題を解決。
・変化する重点領域に対応するとともに、期限を必ず守り、仕事に誇りを持つようチームメンバーを指導。
この説明には、マーケティングの職務内容に出てくるキーワードや、マーケティング分野で必要なスキルが登場する。実際の1日の仕事は、レジ打ちや商品陳列が大半を占めるかもしれないが、マーケティングと直接関係のないスキルには触れない。
スキルの鮮度を保つために、専門的な研修を受けたなら、履歴書にきちんと明記しよう。次のような書き方ができるだろう。
学歴:
ノースカロライナ大学
経営学士号
継続教育:
・グーグルのデジタルマーケティング修了証 - Coursera.org(2022年12月)
・売れるコピーの書き方 - Skillshare (2023年1月)
・コンテンツマーケティング修了証 - HubSpot Academy(2023年2月)
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それまでとは異なる業界の仕事をすることは、仕事に対するやる気や説明責任、そして自分と家族を養うために何でもする意欲があることを示している。柔軟性があり、強い決意と機転があり、未経験の仕事にもチャレンジする意欲を示すことができる。自己動機付けや忍耐強さの価値を過小評価してはいけない。新たな雇用主は、一つの仕事のあらゆる側面に関わり、根気よく努力できる人物を見つけたら、大喜びするはずだ。
"5 Essential Soft Skills to Develop in Any Job," HBR.org, February 28, 2023.