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「共感」を起点に顧客体験を改善する
顧客の期待は、技術的なイノベーションのレベルを超えて高まっている。技術力が爆発的に向上しているにもかかわらず、顧客が求める基準に追いついていないというケースには、誰しも心当たりがあるはずだ。
近年、多くの人はこのような疑問を抱いているのではないだろうか。見たい番組が1000本あるのに、なぜお気に入りをきちんと整理できないのか。クレジットカードには必要な情報がほぼすべて入っているのに、なぜ自分の家計を分析するのは大変なのか。なぜ音楽ライブラリーの曲を整理するように、自分の好みやウィッシュリスト、会員情報をすべて保存してくれる一元化された旅行のポータルサイトはないのか。
同様に、こうした疑問を企業に投げかけることや、既存の製品に生じた問題を解決するための満足のいく方法を見つけることもますます難しくなっている。経済が軟化すると、企業は対話のコストを削減するデジタルプロトコルにますます注力するようになるが、結果として顧客とのつながりの質を落としてしまうリスクがあるのだ。
顧客体験の推進を行うリーダーは、これまでと異なる方法を模索しており、デジタル体験が形だけのものであってはならないことを理解している。顧客の懸念を把握し、状況を改善するために可能な限りの努力をし、顧客のために行われている行動について常に情報を提供する必要がある。
また、人間のカスタマーサービス担当者が行うように、顧客との対話を築き、より深い関係を育みながら、これらのことをすべて行う必要がある。さらには新しいテクノロジーを使って、人間の担当者が物理的に達成できることを強化し、向上させなくてはならない。
これが「デジタルエンパシー」(デジタルが生み出す共感性)と呼ばれるものだ。
ロイヤルティプログラムは、パブロフ的な報酬制度から、段階的なサービスを運用するためのよりよい方法へと進化してきた。よく考え抜かれたデジタルツールは同じような道を歩み始めており、マーケティング部門の枠を超え、カスタマーサービスを革新し、業務上の摩擦を軽減している。以下がその例である。
・バーチャルアシスタントが電話の待ち時間をなくし、問い合わせに素早く対応する。
・撮影した寝室の写真のペンキの色を簡単に切り替えることができる拡張現実(AR)。
・携帯端末にデータが送られるデジタルキーで、ホテルでのチェックインが不要になる。
対話式AI(人工知能)のチャットGPTが世界を魅了する中、顧客体験の専門家らは、次のAIベースのツールがいかに魔法のようなユースケースを実現するのか、考えをめぐらせているはずだ。
デジタルエンパシーは、次の4つの重要な原則を重視することで、顧客体験を大きく改善することができる。