3. 相手に居心地の悪い思いをさせることを受け入れる
あなたの「お約束の問い」がどれほど優れたものだったとしても、問いを投げかけられた相手は居心地悪く感じる可能性が高い。そして、相手が居心地悪く感じれば、あなたも居心地が悪くなる。そこで、相手を解放してあげたいという誘惑に駆られても不思議でない。しかし、その誘惑に屈すると、あなたが成功するために欠かせないフィードバックを得られなくなる。
このような居心地の悪さから抜け出すためには、それを一通り経験する以外にない。そこで、問いを投げ掛け、後は黙っていればよい。頭の中でゆっくり6まで数えよう。6秒間の沈黙に耐えられる人はほとんどいない。相手は何か言ってくれる。
4. 反応するためではなく、理解するために聞く
フィードバックに耳を傾ける際に重要なのは、どのような動機で臨むかだ。相手の言葉に反応することを目的に聞くのではなく、相手の言葉を理解するために聞くことを心がけよう。それは、「あなたの言うことはわかったけれど、でも……」という発想(これはあまり好ましくない)と、「あなたの言うことはわかりました。ありがとう」という発想(これは非常に好ましい)の違いである。
私たちはフィードバックを受けることを通じて、自分の行動を新しい視点で見ることが可能になる。自己防衛に汲々としていると、せっかくの学習と自己改善の機会を失ってしまう。
理解するために聞くことを実践するうえで、役立つアドバイスを一つ挙げるとすれば、それは相手の言葉のなかの批判的要素を積極的に探すべし、というものだ。たいてい、人は批判的な主張をあまり表面に出したがらない。言ってみれば「オレオ型」のフィードバックが返ってくることもある。一つのネガティブな指摘を2つのポジティブな指摘で挟むのだ。相手の言葉のなかの批判の要素を見落とさないように気をつけよう。場合によっては、「オートミール・レーズン・クッキー型」のフィードバックが返ってくることもある。レーズンをしっかり見つけよう。
5. 聞きっぱなしにせず、あなたが聞いていることをはっきり示す
フィードバックを受け取り続けるための最善の方法は、聞きっぱなしにせず、寄せられたコメントをもとにどのような行動を取ったかを相手にはっきり伝えるというものだ。
批判的な指摘を受けた時は、その提案や懸念事項に対してどのように対応するつもりかをただちに説明するとよい。たとえば、「今後はこのようにしたいと思います」などと言おう。もっとも、大がかりな変化を約束する必要はない(そのような約束は、果たせない可能性がある)。「次は、何ができるかについて、ほかのリーダーたちと話してみます」といった言葉でも十分だ。
動画配信大手ネットフリックスの共同創業者であるリード・へイスティングスは、毎年、書面による360度評価を受けていて、その年に一度のフィードバックには社員が誰でも参加できることになっている。ヘイスティングスは、2019年の360度評価の結果を受けて、すべての社員に宛ててメッセージを送った。著書『NO RULES』(日経BP 日本経済新聞出版本部、2020年)に、そのメッセージが紹介されている。
フィードバックに基づいて行動を取った後は、どのような点を改めたのかをまわりの人たちに説明しよう。行動を修正しすぎていたり、逆に修正が不足していたりしないかを尋ねよう。