第2ステップ:抽出
数字を確認した後は、何が業績を左右し、なぜ特定の決断が正しかったり間違ったりしたのか、どの組織構造が役に立ち、ネックになったのか、どんなケイパビリティが欠けていたのかを理解する。ストレスの多い時期から学びを得るのに役立つツールとして、もともと米軍で開発された「アフターアクションレビュー」(AAR)(事後検討会)がある。実り多いAARを行うために重要な要素がいくつかある。
すべてのキーマンを参加させる
関連するすべての視点を評価に反映させ、学びを組織全体に行き渡らせるためには、上級幹部や一部の現場部門だけでなく、コロナ禍の対応で役割を果たしたすべての従業員を参加させることが重要である。
コロナ禍以前の準備状況も評価する
レジリエンスの高い企業は、危機に先立って準備をしているケースが多かった。コロナ禍を予知、あるいは予期していたのではなく「全般的なレジリエンス」を高めるための手を打っていたのである。AARを実施する際には、この点をじっくりと見直す時間を取ろう。
その時々の情報入手の状況をシミュレートする
コロナ禍では、課題が刻々と変化した。ウイルス自体が変異しただけでなく、我々の知識、対応、ビジネス環境も変化した。そのため、結果だけを見て意思決定の良し悪しを評価するのは避けたい。当時入手可能だった情報、その調達、共有、活用状況に照らして評価しよう。
学習と判断を切り離す
振り返りは、説明責任を明らかにするために行われる場合が多い。だがそれは、学びを得るために必要な客観的でオープンなアプローチを妨げかねない。そのため、判断や批判は、AARとは切り離して行うべきである。
うまくいったことに目を向ける
AARでよくある間違いは、ミスやパフォーマンスの低下、
競合他社から学ぶ
他社の成功と失敗から学ぶチャンスも逃さないようにする。他社のどのような選択や行いが自社より高い、または低い業績につながったかを掘り下げよう。
アメリカンエキスプレスのCFO、ジェフ・キャンベルは、インタビューの際、同社におけるAARの重要性を以下のように強調した。