中規模企業が資金を調達する3つの方法

 自社の事業資金を調達したい場合、まずどこから資金調達先探しを始めればよいのか。以下の3つのルートを試してみよう。

既存の資金調達先

 まずは、既存の資金調達先の中で、最良の投資話や融資話を探せばよいだろう。しかし、「いつものお馴染みの顔触れ」はあまり役に立たないかもしれない。コロナ禍の影響とインフレの進行、そして経済全般の混乱が予想される状況を受けて、投資や融資を行う主体の顔触れも変わり始めている。

 地元の商業銀行、プライベートエクイティ会社や多くのノンバンクは、あなたの会社に投資や融資を行うことにあまり前向きでなくなっているかもしれない。それでも、最初は既存の資金調達先を通じた資金調達を試みればよいだろう。

有料の専門業者

 事業の運営に忙殺されて、資金調達先探しに割く時間がなかなか取れない場合は、金銭を払って誰かに依頼すればよい。コロナ禍以降、商業融資仲介業者やM&A(企業の合併・買収)アドバイザーが続々と誕生して、中規模企業がさまざまな選択肢の中から資金調達先を選ぶ手助けをしている。そのような商業融資仲介業者は、苦労せずに見つけることができるだろう。手数料は融資額の2~5%程度が相場だ。出資による資金調達に関しては、4~10%程度の手数料で業務を請け負う仲介業者がいくつも生まれている。

ネットワークとオンラインマーケットプレース

 最良の条件で資金調達するためには、テクノロジーを活用したマーケットプレースも役に立つ。銀行も含む、ほぼすべての融資提供者がオンライン上で何らかのソリューションを提供しているが、最近はテクノロジーを活用した新しいマーケットプレースもいくつか誕生している。

 たとえば、オーパス・コネクトやアクシアルは、株式による資金調達先を探すためのネットワークだ。またセレブロ・キャピタルは、2000社近くに対して融資の申し込みを行えるサービスを提供している。その約2000社は、商業銀行とノンバンクがほぼ半々で構成されている。

 このサービスを利用した借り手は、貸し手に支払う利息とは別に、セレブロにツールの利用料を支払う。リアルアトムやアイボローも、商業用不動産向け融資で同様のサービスを提供している。5000万ドルを超す大規模な資金調達を目指す場合は、ミッドキャップ・ファイナンシャルやアライアンス・バーンスタインなど、多くのアドバイザーや出資者が選択肢になる。

自社のニーズを把握して、賢く探す

 以上で紹介した3つの方法は、いずれも事業を成長させるために必要な資金を調達する手立てになりうる。しかし、重要なのは金額だけではない。さまざまな条件、プロセスの容易さ、自社の機密保持、タイミングなども、非常に重要な要素だ。状況によって大きく異なるため、すべてのニーズを完全に満たすことは難しい。しかし、どの方法で資金調達を目指すにせよ、以下の点には留意したほうがよい。

資金調達に成功する確率を高める

 自社の事業を緊密にコントロールし、無駄のない事業体制を整えることにより、オペレーションの効率を高めるべきだ。コンサルティング大手アリックス・パートナーズも指摘しているように、堅実なオペレーションを実践できている企業ほど、資金調達の契約がまとまりやすい。

最良の取引を探す

 さまざまな資本調達先を比較して検討すべきだ。そうすることにより、金利、企業価値評価額、担保、諸条件、借り手が負うべき契約上の義務などを天秤にかけることが可能になる。

自社の機密を保持し、プロセスのコントロールを手放さない

 自社の機密情報はしっかり守るべきだ。また、仲介業者などからのプレッシャーにより、望まない契約を結ばされたり、望まないタイミングで契約を結ばされたりしないようにする。

全体のコストを理解する

 資金調達に当たり、仲介業者、資金調達アドバイザー、オンラインツールの提供会社、弁護士、税務アドバイザーなどを活用する際は、そのサービスにいくら支払うのか、誰が手数料を支払うのかを把握するようにしよう。

 現在の環境の下において、これまでの低金利時代のようなやり方では、資金調達で有利な取引をすることは難しい。しかし、オンラインツールの普及により、資金調達が以前よりも簡単になっている面も多い。そのために求められるのは、高望みしすぎないこと、データをやり取りする際にできるだけ質の高いデータセキュリティを活用すること、そして自社の最終的な負担について交渉することだけだ。

 さあ、あなたの会社に有効な方法を見つけよう。できれば、比較的シンプルで、費用対効果の高い方法を見つけることが望ましい。


"How Midsize Companies Can Access Capital in Turbulent Times," HBR.org, April 26, 2023.