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リーダーが最高の人材を惹きつけるための戦略
最近、企業のリーダーと話をすると、「もう誰もハードに働きたがらない」といったつぶやきをよく聞く。人を雇う側である企業は、成功するためなら何でもする、ハングリーで野心的で真っ直ぐに突き進むタイプの社員をいまだに求めている。ところが新しく採用された社員はまるで老練なエグゼクティブのように働き方の交渉をしてくるので、マネジャーは途方に暮れている。
最近、各社によるレイオフがあったが、それでも、従業員は相変わらず多くを求めている。フレキシブルな働き方やそのほかの福利厚生を強調する求人広告がそれを証明している。また、景気に関係のない真実がある。企業は最高の人材を採用して維持したいと考えている。それゆえ最高の人材が優位な立場にあるということだ。
それでも筆者のクライアントである上級幹部の面々は、よりコントロールを強めて「正常」に戻そうと、オフィスでの勤務時間を増やし、さまざまな指標を厳しくし、経済的逆風によって、かつてのような「上からの力」を取り戻せるのではないかと期待している。
どれも当てにならない、というのが筆者からの助言である。
人間の性質は根本のところでは変わっていない。人々は仕事に関わり、何か大きなことに打ち込みたいと思っている。しかし、カメラがズームアウトしていくように、より広くその背景までとらえると、仕事への思いにはさらに奥行きがあることがわかってくる。
仕事に情熱を持つこと、
コロナ禍の3年が過ぎ、集団的トラウマが個々のビジネスパーソンの心理に及ぼす影響が見えてきた。人間性が露わになり、以前はありえないと考えられていた仕事のパラダイムも明らかになった。もう誰も見なかったことにはできない。
ガートナーの調査によれば、従業員はよりいっそう「人間的な価値提案」を求めており、回答者の65%が、コロナ禍を通して自分の生活の中で仕事が占めるべき役割を再考したと答えている。ワークライフバランスについては何十年も議論が重ねられてきたが、ついに人々はそれが何を意味するかを肌で感じ取ったのだ。
大きな問いは、「生活を仕事にどう合わせるか」から「仕事を生活にどう合わせるか」へと推移した。権力のある人々はとっくに後者に基づいて仕事をしていたという指
この傾向は、日々、実際に目にする。最近、有名コンサルティング企業に採用された22歳の女性と話す機会があった。その企業はアソシエートのスケジュールが過酷なことで知られていたが、すでに彼女と同僚は仕事を続けられなくなる境界線を定めていて、会社が求めに応じない場合はいつ辞めるかまで計画していた。
また、筆者は最近、リーダーシップ育成のセッションで、トップエグゼクティブたちに、2023年は何に情熱を傾けているかと質問した。予想通り、実現間近なプロジェクトについてのコメントがいくつかあったが、個人的な取り組みやウェルビーイングへの関心を挙げた人も同じくらいいた。確固たる地位を築いたリーダーであり、プロフェッショナルである人たちが、昇進や給与をコントロールしているメンバーの面前でそう話したのである。
雇用契約は、労働者一世代のうちに根本的に変化した。マッキンゼー・アンド・カンパニーによる2022年アメリカン・オポチュニティ調査によると、労働者の87%がいつどこで働くかを自律的に決めることを望んでいた。つまり、どのように働き、どのように成功を定義するかについての主体性を求めているのである。
もしリーダーが最高の人材、つまり情熱があり、その情熱を職場に吹き込むことのできる人材を惹きつけ維持したいならば、モチベーションを引き出す方法について、リーダー自身の視野を広げるべきである。以下は、その4つの戦略である。