1. プレゼンのバージョンを2つ準備する

 計画したプレゼンの完全版と、その50%のバージョンを用意する。そして、その両方を練習しておこう。短縮版のスライドをつくるだけでは、効果的な短いプレゼンの準備にはならない。割り当てられた時間をフルに使えないと気づいたら、すぐに短縮版に切り替える。さらに内容を削る必要があるかどうか、素早く判断する必要もあるかもしれない。

 また、ミーティング後に追加のコンテクストや内容を文書で提供することを聴衆に伝えられるようにする。英文学者のアーサー・キラークーチの言葉「愛するものを殺す」に従うべきだ。客観的に、感傷的にならず、大切だと思う内容を削除することをためらってはならない。

2. ヘッドラインをつける

 プレゼンのヘッダーではなく、ヘッドラインをつくる。ヘッダーとヘッドラインの違いを説明すると、ヘッダーは、スライドの内容がどのようなものでも使える曖昧な言葉だ。ヘッドラインは、スライドの内容をトップに示したもので、スピーカーと聴衆の双方が最初に結論を知ることができる。

 以下を比較してみよう。

スライドのヘッダー:「2023年の経済見通し」
スライドのヘッドライン:「2023年の経済見通しは楽観的」

スライドのヘッダー:「第2四半期売上高」
スライドのヘッドライン:「期待外れの第1四半期を経て、第2四半期の売上高は回復」

スライドのヘッダー:「次のステップ」
スライドのヘッドライン:「次のステップ:採用、オンボーディング、トレーニング」

 知見を発表する時間が限られたら、各スライドの詳細を説明できなくても、スライドのヘッドラインをカバーするだけで、短いながらも効果的な話ができる。

3. 弁明せず、同僚を犠牲にせず、不機嫌にならない

 あたかもそれが発表する予定だったバージョンであるかのように振る舞うべきだ。聴衆は、あなたが言わない限りわからない。「技術チームが今朝準備してくれていれば……」とか「同僚が時間を超過したので……」などと言いたくなるかもしれないが、それは控えること。プロフェッショナルかつ協力的な態度を貫かなくてはならない。こうした話は、会議中ではなく、「会議の後」にすればいい。

 最後に、聴衆に怒りや不満、憤り、諦めが伝わらないように、感情をコントロールする。感情は伝染しやすく、ネガティブな感情は特にそうだ。聴衆にあなたが感じている緊張を感じてほしくなければ、深呼吸を1~2回して、望んだ状況ではなく、いまの現実を受け入れる。

 人前で優れたスピーチをするには、柔軟性とレジリエンスだけでなく、計画性も必要だ。計画していたほどの時間がないからといって、意図したインパクトを与えることができないわけではない。


"Nail Your Presentation - Even When Your Time Is Cut Short," HBR.org, July 12, 2023.