リスク許容度を高める

　有能なスポンサーは、若手人材をコンフォートゾーンから押し出す。彼らは、スポンシーが自信を持てない時でも、自信を持つための見本となる。しかし、ミスが不当に精査されたり、潜在能力が疑われたりしやすいグループにとっては、リスクを冒すことに負荷がかかる。

　優秀なスポンサーは、過小評価グループのスポンシーと組む際には、偏見や文化的期待など、リスク回避をするさまざまな理由を考慮する。新しい機会に対するスポンシーの警戒心を、変化に対する意欲の欠如と見誤ることはない。コーチングに取り組み、多くの場合、リスクと対峙する方法についての自身のストーリーを共有する。

　スポンサーは、大きな目標を小さなステップに分割したり、意思決定のフレームワークを使ったりするといった、健全なリスクテイクの方法もスポンシーに学ばせる。また、リスクテイクの際に不快感を抱くのは、プロセスにおける問題ではなく特徴であることを再確認させ、スポンシーにマクロな環境を評価するよう促すこともある。

　大手テクノロジー企業の重役であるディビヤは、ネットワーキングを避け、地道に昇進することでキャリアを築いてきたトップパフォーマーだった。スポンサーとの数回のセッションの後、彼女は会社での新たな役割のアイデアを共有した。スポンサーはその案を推し進め、その新しい役職を許可する権限を持つリーダーと話し合った。

　ディビヤのスポンサーは、ビジネスケースについて彼女と一緒に考え、ピッチのリハーサルではフィードバックを与えた。「私の話に耳を傾けてくれ、社内の方針から私が完全に外れているのか、許容範囲なのかを教えてくれる人がいることを知った」とディビヤは語った。スポンサーとの対話や思考のエクササイズによって、彼女は自分に対する見方が変わり、コンフォートゾーンから抜け出して、質問を投げかけるようになった。

　ディビヤのスポンサーは、彼女を気にかけていることを言葉と行動で伝えた。そして、優れたスポンサーらしく、スポンシーの様子を確認するための時間を確保し、同僚に対して彼女を擁護し、リスクテイクのプロセス全体を通して自分の時間をそそぎ、精神的なサポートを提供した。