自己開発計画を立てる

　スポンサーがスポンシーを支援する方法がわからなければ、支援はできない。スポンシーは、スポンサーが自分を支援できる具体的な方法を示す必要がある。スポンサーとスポンシーが互いをよく知らないプログラムでは特にそうだ。

　問題は、多くのスポンシーが自分のニーズを率直に口にしないことである。セルフアドボカシー（自己権利擁護）は、訓練と周囲の励ましによって強くなるが、多くのスポンシーはその両方を欠いている。特に過小評価グループのスポンシーは、発言することが偏見という地雷原を歩くようなものだと学んできた。また、セルフアドボカシーを避けるように社会化されてきた人もいる。

　スポンシーはスポンサーと活動を始める前に、スポンサーシップの戦術的な指針となる自己開発計画を立てるべきだ。口では言いにくいことも文章なら表現しやすい人もいる。スポンシーが自分一人で、あるいは小規模なピアグループで取り組めるよう、指示を書いて渡すとよい。

　筆者のプログラムでは、スポンシーは次のような質問に答える。どのようなスキルを向上させたいか。新しいプロジェクト、仕事の範囲、役割についてアイデアはあるか。1年後のあなたにとって、職場での一日はどのようなものか。あなたの貢献を誰にさらに知ってもらいたいか。どのリーダーと会って話をしたいか。

　スポンシーは次に、自分の問いに答えを出すための戦術案のリストを作成する。それをスポンサーに提出し、スポンサーはそのプランを、スポンサーシップの関係を深めながら進化させるための「活きた文書」として活用する。

　このアプローチが効果的だったのが、活動的なハイテク企業の営業幹部であるサラだ。バイスプレジデントがスポンサーとして割り当てられた時、サラは自分のキャリア開発目標が漠然としていた。それを明らかにするには、スポンサーからのコーチングと明確な励ましが必要だった。自己開発計画の中で、サラは仕事の範囲を広げたいと主張し、最終的にそれを手に入れた。彼女は、スポンサーが勇気づけてくれたおかげだと思っている。「バイスプレジデントに対して自分の希望を求める権利があると感じたことはなかった」とサラは言う。「これは私にとって大きな一歩で、その力を得るには時間がかかった」

＊　＊　＊

　スポンサーシップを最も必要としている若手人材は、スポンサーシップを構築するために最も強い逆風に直面している可能性がある。

　そのため、過小評価されているスポンシーにスポンサーを割り当てるだけでは不十分だ。効果的なスポンサーは、影響力やアドボカシーだけでなく、文化に敏感になり、つながりを構築しなければならない。スポンサーは、過小評価グループによく見られる自己検閲や、自信のなさと無気力の違いについて学ぶ必要がある。

　スポンサーシップは双方向の関係だ。スポンシーとして成功するには、スポンサーシップの期待に沿うような自己開発を行って、イニシアティブを取らなければならない。スポンシーも、彼らの職場の文化も、ともに成長し変化する必要がある。


"How to Strengthen Your Relationship with a Career Sponsor," HBR.org, August 17, 2023.