変化という課題とその解決策
本書『CHANGE 組織はなぜ変われないのか』では、不確実性と不安定性、そして変化の増大について掘り下げて考える。自分の会社(と社会全体)をよくしたいと考える人たちにとって、これらの現象がなにを意味するかを論じ、変化と適応の能力を漸進的にしか向上させなければ、途方もないリスクを、本来であれば避けられたはずのリスクを背負い込むことになると指摘したい。
幸い、この数十年の間に、どうして多くの人と組織が変化を成し遂げられないのか、どうして少数の組織しか成功を謳歌できず、少なからざる組織が生き延びることに失敗するのかについて、多くのことがわかってきた。ところが、以下で述べるように、その知識の多くは大半の組織で活用されていない。理由は聞けば意外なものではないが、そうした状況を是正することは可能だ。
変化が難しいのは、準備が不十分な人たちや、能力が不足している人たち、頑なに視野を広げようとしない人たちのせいだと感じられることが多い。写真フィルムメーカーのコダック、レンタルビデオ店のブロックバスター、書店のボーダーズなどが苦境に陥ったのは、傲慢で頑迷なリーダーたちが明白な現実から目を背けた結果だとしばしば言われる。これらの企業のリーダーたちが変革を試みすらしなかったのではないかと考える人も多い。
この種の批判はある程度正しい。しかし、それが問題のすべてではない。このような点にばかり目を向けると、物事の理解を誤る。
実は、この問題はもっと大きな構図で理解すべきだ。人類の進化の過程で何千年も昔に確立された人間の性質と、19世紀後半~20世紀前半に形づくられた現代型組織の基本設計はともに、迅速に、容易に、賢明に変化を遂げることに適していないのだ(図表1-2)。
>>連載第4回「大きな成功は、大勢のリーダーシップからもたらされる」はこちら
[著者]ジョン・P・コッター、バネッサ・アクタル、ガウラブ・グプタ
[訳者]池村千秋
[内容紹介]
リーダーシップ論、組織行動論の大家、ジョン P. コッター教授、待望の最新刊がついに発売! なぜ、トップの強い思いは伝わらないのか? なぜ、現場の危機感は共有されないのか? 組織変革の成否を左右する「人間の性質」に迫る。
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