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会議のスケジューリングが生産性を左右する
多くのナレッジワーカー(知識労働者)にとって、会議は依然としてさまざまな課題をもたらす存在だ。一般的な助言や先行研究では、会議をより効果的にすることや、費やす時間を短くすることに焦点が当てられるケースが少なくない。こうしたことのほかにもう一つ、重要だがほとんど考慮されていない側面がある。それは、日々のスケジュールに会議をアレンジする方法だ。スケジューリングは、仕事において私たちがエネルギーや生産性を高めるのを支えたり、反対に妨げたりするため、より詳しい考察が必要である。
筆者たちは、知識労働者の日常的な会議のスケジューリングが、どのような影響を与えるのかについて研究している。まず2つの例を考えてみよう。
若手アナリストのチームを率いるシニアデータスペシャリストのテイラーは、木曜日に会議が2件入っていることに気がついた。ベンダーとの連絡役と、他部署のシニアスペシャリストとの打ち合わせだ。さらに、複数の若手アナリストと人事評価の面談の調整もしなければならない。
木曜日にすでに入っている2件はそのままにして、新たな会議の時間を捻出するか。それとも追加の会議は金曜日にするか。テイラーとしては、木曜日に会議を詰め込みたかった。そうすれば時間の節約になり、金曜日のスケジュールをすっきりさせることで、プロジェクト報告書の自分が担当する部分の作成に集中できる。
もう一人は、経験豊富なソフトウェアエンジニアで、開発チームのマネジャーを務めるミンリだ。彼女は今週、2件の会議が入っている。火曜日は戦略委員会でプレゼンをする。予算に影響を与える可能性のある重要な会議だ。水曜日は新しいインターンのためのオリエンテーションで、こちらは比較的簡単な慣れた仕事である。さらに、これら2件のほかに、2つのプロジェクトで技術の仕事を担当している。一つは重大な問題に直面しているプロジェクトで、もう一つはほぼ完成して最後の仕上げをする段階だ。
火曜日に難しいプロジェクトに取り組み、水曜日に簡単なプロジェクトを済ませるか、それとも順番を逆にするか。ミンリは前者を選ぼうとしていた。会議でも個人の仕事でも、火曜日に最も困難な課題に取り組めば、週の後半のストレスが軽減されるだろうというわけだ。
テイラーとミンリのアプローチは一般的なものといえる。複数の会議を短い間に組み込んで時間を節約しようとしたり、重要な会議と集中的に取り組む個人の仕事を同じ日に入れて、できるだけ早く終わらせようとする。しかし筆者たちの研究から、こうした戦略には、特に仕事をする日のエネルギーに対する影響を考えると、それぞれ欠点があることが明らかになった。
筆者たちは2つの研究を行い、400人以上のフルタイムのナレッジワーカーの一日の仕事内容を追跡した。対象者はIT企業のほか、知的労働を伴うさまざまな業界で働いている。週の半ばと終わりに、午前と午後の会議、個人のタスク、その他の活動について調べ、さらに毎日、半日が終わった時点のエネルギーレベルを調べた。また、彼らの上司から、仕事の成果や創造性など、彼らの仕事ぶりに関する洞察を聞いた。
その結果、重要な発見が2つあった。まず、知識労働者のエネルギーに影響を与えるのは、会議に費やす時間の絶対的な長さではなく、個人のタスクに費やす時間と比較した相対的な割合であることがわかった。
一日の中で、個人のタスクに費やす時間と比較して会議に費やす時間が長いと、日中にエネルギーを回復するための小休憩(短い散歩、何気ない会話、短い読書など)をあまり行えない。定期的なエネルギー補給に欠かせないこうした休憩が足りないと、仕事へのエネルギーが損なわれる。エネルギーの低下は、知識労働者のタスク遂行能力や創造性、仕事への満足度に悪影響を及ぼす。
さらに、会議と個人のタスクの予定を適切に構成した場合、仕事のなかで「プレッシャーの補完効果」を生み出すことがわかった。プレッシャーが強い個人のタスクとプレッシャーが弱い会議、あるいはプレッシャーが弱い個人のタスクとプレッシャーが強い会議という補完的な構成は、働く人のエネルギーに恩恵をもたらす。