2. 仕事を徐々に再開する

 リラックスして休暇を楽しむはずだったのに、溜まったメールや会話に追いつくことに圧倒されたりストレスを感じたりすると、休暇から戻ることが困難になる。

 通常の働き方に戻る前に、切り替えとリカバリーのための1日を設け、真っ先に仕事に取りかかりたくなる誘惑を抑える。自動返信を作成したり、不在にする期間を1日か2日延長したりすることも検討するとよい。

 丸一日働き始める前に、時間に対する防壁を設けると幸先のよいスタートを切れる。必要不可欠で時間的制約のある仕事から着手し、メールや最新情報の確認は後回しにできるようゆとりを持つ。エネルギーを得られる活動のための時間も、スケジュールの中に確保する。

3. ポジティブなことを振り返り、ネガティブなことはリフレーミングし、そこから学ぶ

 物事が期待していたほどうまくいかないと、圧倒されたり、失望したりしやすい。しかし、大切にしたいポジティブな記憶があるはずだ。そのような経験や、そこから得られた教訓、見識を振り返り、心に刻む時間を持つ。それらを書き留めれば、チームメンバーと共有でき、休暇から得た恩恵をより強く実感できるはずだ。旅行でマンネリを感じたとしても、自宅に帰れば日常に戻るという事実に慰めを見出せるかもしれない。

4. フレッシュスタート効果を利用して新しい習慣や日課を設ける

 フレッシュスタート効果とは、誕生日や新年、その他の節目といった新しい始まりに行動を変えると成功する可能性が高まる現象だ。休暇明けをリセットする機会にすることで、この効果を利用することができる。

 休暇からの復帰は、運動する、通知をオフにする、気が散るものをブロックする、毎晩日記を書くなど、気力と生産性をさらに高める新しい習慣を確立するよい機会だ。日々の生活の中で、エネルギーが補給されるような習慣やルーチンを探す。「タイムボクシング」のような習慣を活用すれば、自分にとって重要なことのためにエネルギーを最大限に活用することができる。

 過剰に埋め合わせようとする誘惑に駆られるかもしれないが、自責の念に駆られて行動を起こしてはいけない。それよりも、日常生活の中でうまく機能するルーチンを考え、習慣を持続できるようにする。軌道に乗るために今日何をすべきかを決め、自責の念を捨て、前に進む勢いを生み出すために必要なことをする。

5. 今後の休暇に必要なことを明確にする

 今回の経験を、これからよりエネルギーを得られる休暇を過ごすための土台をつくる学習の機会として活用する。どの程度のスケジュールがエネルギーを与えるのか、あるいはエネルギーを消耗させるのかを判断する。誰と一緒に過ごしたいか、どれだけ遠くまで旅行したいか。自分のウェルビーイングやつながりのために、チームとのコミュニケーションはどの程度必要か。

 よい休暇でも、疲れてしまうこともある。休み明けに時間とエネルギーを適切に管理しなければ、その疲労があなたのウェルビーイング、仕事、人間関係、パフォーマンスに影響を及ぼしかねない。今回の休暇で必要なものが得られなかったなら、それをモチベーションにして、持続可能でエネルギーを維持できる習慣を日常生活に組み込んでほしい。


"When Your Vacation Wasn't Exactly Relaxing," HBR.org, September 05, 2023.