知識労働者の生産性は「進捗」で高まる

 組織にイノベーションを生み出す仕事を後押しする最善の方法は何か。重要なヒントは、世界的に有名なイノベーターたちの物語に隠されている。

 実は、ほとんどのマネジャーが気づいていないが、日々の仕事に高い生産性が要求される知識労働者、すなわち、一般の科学者、マーケター、プログラマーたちは、高名なイノベーターたちと多くの共通点があることが明らかになっている。感情に火をつけ、やる気を促し、知覚を刺激する仕事上の出来事というものは、どちらも基本的に同じである。

 DNA構造の発見をめぐるジェームス・ワトソンの回顧録『二重らせん[注1]』では、彼とフランシス・クリックがノーベル賞につながる研究の進展と挫折を通じて経験した感情の揺れ動きが描かれている。