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企業は総資産の5分の1を「現金」で保有している
ほとんどの米国人はコロナ禍の時に貯めたお金を使い切ってしまったが、企業は違う。金融業界を除く米企業が保有する現金保有額は増えており、いまや6兆9000億ドルと、世界のどの国(2カ国を除く)のGDPよりも多くの資金をため込んでいる。筆者らの調査によれば、金利が上昇したいまも、非金融企業は総資産の5分の1を現金で保有している。
なぜ米企業は、借入れコストをはるかに下回る金利しかもたらさない、現金のような資産クラスをこれほど多く保有しているのか。研究者らは柔軟性や税金の確保など、複数の可能性を指摘する(これらについては以下で検討する)。しかし筆者らの研究では、「予防的な現金保有」の可能性が示された。
端的に言うと、企業が現金を保有するのは、株主価値を低下させるような破綻を回避するためである。
余剰現金を保有する理由
これまでの研究から、企業が多額の現金を保有する理由は主に3つあるとされている。